【野球】日本ハム・栗山英樹監督 かつて戦友に刺激を受け、日本一奪還の夢へ

 沖縄・国頭で行われている秋季キャンプの練習が終わると、日々の日課が始まる。さざ波の音を聞きながら、日本ハム・栗山英樹監督(57)と浜辺を歩いて宿舎に戻る。道のりは約1キロ、時間にして約15分だろうか。指揮官が関心を抱く歴史の話から動物の話、選手との知られざるエピソードなど…。担当記者に豊富な知識と経験を伝えてくれる時間は、文字通り“青空教室”。そんなある日、信頼するかつての同志の話題を自ら切り出した。

 「魂の男、清水雅治」

 今秋に阪神のヘッドコーチに就任し、現在は侍ジャパンの外野守備走塁コーチとして日米野球を戦っている清水雅治氏(54)。栗山監督が初めて日本ハムの指揮を執った12年シーズン、同氏は1軍外野守備走塁コーチとして支えてくれた。特に印象に残っているのは、退団が決まった同年のシーズン終盤。当時を懐かしむように、感慨深げな表情だった。

 「『この世界は仁義が大事だから』と言って、(12年の)シーズンの最後に外野手全員を監督室の前につれて、2人で説明したら全員が泣いてたよ。稲葉、(陽)岱鋼、(中田)翔も。そういう慕われ方をしてたよね」

 次代を担う若い選手を鍛え上げ、球界屈指の外野手に育てた。リーグ優勝に貢献した功労者なのは言うまでもなく、その指導法は栗山監督の心にも刻まれている。「技術的なことを教える指導者としての能力はもちろんあるんだけど、その気持ちが選手に伝わっていると思うんだよね」。選手に寄り添い、共に全力で戦う魂。6年の月日が流れても、思いが変わることはない。 「環境が変わって大変なこともあると思うけど、頑張ってほしいね」

 チームは違えど、未来のプロ野球界を思う気持ちは今も同じ。山原(やんばる)の空はあの時のように青く、どこまでも澄み渡る。かつての戦友に刺激を受け、栗山監督は日本一奪還の夢に向かう。(デイリースポーツ・中野雄太)

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