【野球】巨人戦力外の中井 現役続行へ迷い消した“師匠”高橋前監督の言葉

 黙々とバットを振り込んでいた。巨人から戦力外通告を受けた中井大介内野手。11月13日の12球団合同トライアウトへ向けて「前に進むしかない。自分には野球しかないので」と、決意をにじませた。

 30日、チームは秋季キャンプが行われる宮崎への移動日。誰もいないグラウンドで、中井は同じ境遇の河野元貴捕手、松沢裕介外野手、篠原慎平投手と汗を流していた。

 26日、球団から突然の戦力外通告。「誰しも、突然くるもの。決まったものは変えられない。受け入れるしかない」。そう自分に言い聞かせても、戸惑いはあったという。

 中井は17年に一般女性と結婚。今年4月には第1子となる長男も誕生した。「家族、子供のこともある。現実的に考えなければいけないこともあるし、自分の思惑だけじゃいかないこともある」。野球を離れ、別の仕事に就く選択肢もあったという。ただ、自分の気持ちと正面から向き合い、現役続行への道を模索すると決めた。

 迷いを消し去ってくれたのは、師と仰ぐ高橋由伸前監督の言葉だった。「自分の考えに、由伸さんは『うん、うん』って聞いてくれて。現役続行への思いを伝えた時も『自分の人生。自分の選択。一番いいと思う選択をしていくべきだよ』と言ってくれた」。由伸前監督が現役時代、志願して合同自主トレを申し出た。その師匠にも背中を押され、今は「開き直りつつあります」と笑顔も見せた。

 今季は打撃フォームの改造がはまらず、70試合の出場で打率・186と不調に苦しんだ。「全部、実力なんで。そういう世界ですから」と言い訳するつもりはない。

 ただ、13年は48試合の出場で打率・324、昨季は5本塁打と長打力も示した。「ずっとだめだったらあきらめもつくかもしれないけど、結果を出した時期もある。何かピースがはまればやれるんじゃないかと。そういう思いもこめて挑戦しようと思う」。渾身(こんしん)のフルスイングで、道を切り開いていく。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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