【野球】星稜、野球の怖さを知った“タレント軍団”全国制覇への挑戦

 来年こそ、春夏通じて初の甲子園制覇を-。星稜の新チームは“タレント”ぞろいで、世代屈指の強豪と呼び声が高い。秋季石川大会を制し、来春センバツ出場校選考の重要な参考資料となる北信越大会(13日開幕、新潟)の出場権を獲得。13日の1回戦で関根学園(新潟)と対戦する。

 新チームは、春夏連続甲子園に出場した旧チームから、レギュラーが5人も残り、センターラインを固める。

 宇ノ気中の軟式野球部で日本一を達成している最速150キロ右腕・奥川恭伸投手、主将・山瀬慎之助捕手(ともに2年)のバッテリーは安定感抜群。二塁・山本伊織内野手(2年)は堅守を誇る。

 遊撃・内山壮真内野手(1年)は新チームで4番に抜てきされ、ここまで出場した公式戦全20試合で安打を放っている。星稜中で全国制覇経験を持つ中堅・東海林航平外野手(2年)は、50メートル5秒9でチーム1の俊足だ。

 この5人に加え、奥川を筆頭とした投手陣も層が厚い。星稜中で全国制覇経験を持つ左腕・寺沢孝多投手(2年)は、今夏の甲子園2回戦・済美戦で好投を見せた。

 OBの松井秀喜氏と同じ根上中出身の寺西成輝投手(1年)は、186センチの最速143キロを右腕。U15日本代表の萩原吟哉投手(1年)も今秋の石川大会で結果を残した。

 11年4月から指揮を執る林和成監督(43)は冬に成長する必要性を説いた上で、「今までも日本一とは言っていたけど、今年は本当にその景色が見えるかもしれない」と手応えを感じている。

 選手の士気も高い。主将・山瀬は始動時に「日本一」を目標に掲げ、「秋の石川大会で圧倒して優勝しよう」と言い続けてきた。

 その秋季石川大会では全5試合で6点以上を奪って1試合平均8・4点。本塁打は4本を放った。守備は無失策。投手陣は4試合で完封し、わずか4失点で頂点に立った。

 林監督は圧倒的な力を見せた中でも、「奥川を中心に守備が安定していて失点が計算できるので、ゲームプランが立てやすい」と話すように、奥川と山瀬のバッテリーがチームの大黒柱となる。

 奥川は来年のドラフト1位候補と言われる右腕。2年生では唯一、9月のU18アジア選手権に出場した高校日本代表に選出された。

 大会中は大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)と同部屋だった。根尾の武器だった高速スライダーを伝授されており、習得に挑戦中だ。「全国制覇に見合った力をつけないといけない」と一層の飛躍を誓う。小学校時代から知る山瀬は「奥川は成長が止まらない。ずっと成長している」と話しており、来年はさらにスケールアップした姿が見られそうだ。

 山瀬は冷静な強肩捕手。チーム一の練習量を誇る努力家でもある。昨冬は降雪で学校が休校となった日が数日あったが、休校発表時には、すでに室内練習場で練習していたという逸話を持つ。

 今はチームに目を向ける時間も多い。林監督とは毎日意見を交わす。「常に日本一を意識して、狙えるチームにしたい」。姿勢と言葉で甲子園制覇への意識を植え付けている。

 2人には忘れられない試合がある。今夏の甲子園2回戦・済美戦。6点差を追いつかれ、延長十三回に逆転サヨナラ負けを喫した。

 マスクをかぶっていた山瀬は「僕の配球、声掛け1つで展開は変わっていたと思う」と後悔を口にする。先発した奥川は足がつって4回で降板。「これからは僕が最後まで投げたい。もうあんな思いはしたくない」。野球の怖さを身をもって知った2人が先頭に立ち、星稜に新たな歴史を作る。(デイリースポーツ・西岡 誠)

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