【スポーツ】猛暑で機運高まるJリーグの秋春制ってどうなの

 平熱より気温が高くなることも珍しくなくなった。台風12号は東から西へ迷走、逆走状態。小学校の夏休み水泳教室は高温のため中止になった。水温と気温の合計が60度を超えたら熱中症の危険があるそうだ。水温が低くて中止、というのは経験したことがあるが暑くて中止とは前代未聞。異常気象の夏である。

 休暇を終えてドイツへと出国した日本代表MF香川真司(ドルトムント)は「7月のこの時期に日本にいることはあまりなかったので」と話し、酷暑に警鐘を鳴らした。

 「サッカーがやれるコンディションでは、日中はなかったので、その驚きというか、大変というか、危ないなと非常に感じました。これからこういう異常気象が続く中で、スポーツ界は考えていかないといけないと感じました」

 W杯の熱気と余韻を残す中、Jリーグは再開した。ナイターとはいえ、半端ない暑さの中の戦い。18日には横浜Mが8得点、22日には鹿島が6得点とサッカーらしくない大量得点試合が生まれたが、その一因として暑さは無関係ではないかもしれない。「いくら夏休みでお客さんが入るからって、クオリティーの悪いものを見せていたら人が来なくなっちゃう」と危機感を口にする協会関係者もいた。

 何で暑い中サッカーを?という疑問から、あらためて思い起こすのは、Jリーグの、秋に開幕し春に閉幕する秋春制シーズン移行問題だ。08年ごろから浮上しては否決され、最近では、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が提案。Jリーグは1年間協議を重ねた上で、昨年12月の理事会で否決している。

 秋春制では豪雪地帯での試合実施や選手、観客の安全面に問題が出る。また、Jリーグ理事会ではリーグ戦実施期間が1カ月間短くなる点や、学校年度と半年ずれる点、移行年に日程的に空白時期ができる点など、デメリットを9項目にわたって挙げている。いずれも納得のいくものだった。

 そもそも秋春制が議論された一番大きな理由は、日本代表の強化という面だった。国際サッカー連盟(FIFA)の代表活動日程は欧州主要リーグと同じ秋春制をベースに考えられているのが1つ。また、欧州とシーズンが同じことで日本人選手の海外移籍も容易になる、などのメリットがある。

 W杯からの帰国会見で、西野朗監督はこう話していた。

 「(4年後へ)海外組、国内組の選手たちが融合していかないといけない。そこの難しさもあります。これは欧州と日本とでシーズンが違うからです。これを合わせていくことというか…。9、10、11月のA代表の活動が毎年毎年強化にならないくらいの状況ですから」。

 技術委員長として代表チームに関わり、W杯の指揮を執った西野監督の言葉だけに重いものがある。一方で、Jリーグ側も議論を重ね熟慮の末に現行維持の結論を出している。西野監督は「改善は難しいと思いますが、考えていく必要はあると思います」と結んだ。躍進したW杯、そして迎えた異常気象の夏。これをきかっけに、秋春制再考の機運となるだろうか。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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