【スポーツ】“山の神”神野の克服力 脇腹痛で不本意なレースも

 3月4日に行われたびわ湖毎日マラソンで、東京五輪代表選考会につながるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権の獲得者は男子で13人となった。最も脚光を浴びたのは、先月25日の東京マラソンで2時間6分11秒の日本新記録を樹立し、褒賞金1億円をゲットした設楽悠太(26=ホンダ)だろう。この大会ではMGC出場権を6人が獲得した。

 その陰で、期待されながら18位に終わったのが、青学大時代に箱根駅伝の「山の神」として知られた神野大地(24)=コニカミノルタ=だ。2度目のマラソンは2時間10分18秒。初マラソンとなった昨年12月の福岡国際の2時間12分50秒から2分以上更新したが、レース直後は号泣して取材を受けられないほどだった。

 突然のアクシデントが敗因だった。「32~33キロで差し込みが来てしまい、力を出し切ることができなかった。足に余裕がある状態だったのに、力を全部出し切ることなく終わった」。「差し込み」と呼ばれる脇腹痛はレース中に突然起こり、なりやすい選手も少なくない。「3回に1回は来る」という神野も薬などで対策は講じていたが防げなかった。序盤から順調に先頭集団を狙っていただけに「差し込みさえなければ8分台も出ていたと思う」と無念の思いは尽きない。

 社会人2年目の今季、マラソンに参戦。13位だった福岡国際後は太もも裏や尻回りなどの筋力を強化し、今回のレース中は「トレーニングの成果を感じていた。ハム(太もも裏)、臀筋などの筋持久力を使って走ることが30キロまではできた」と手応えがあった。また、福岡国際ではマメがつぶれて血まみれのシューズでゴールしたが「今回はマメは1つもできていない。靴の選択も間違ってなかった」とこちらもクリアした。

 「9割以上は手応えを感じることができた」。脇腹痛ですべては吹き飛んだが、短期間の2レースで見せた課題の“克服力”こそ神野の武器なのだろう。箱根路を湧かせた華やかなスターの歩みは実は泥臭い。ただ、目標の東京五輪へ向けて一歩ずつ前進しているのは確かだ。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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