【野球】周囲が感じる松坂復活への道

 球春到来-。プロ野球選手が「正月」と称する2月1日がやってきた。阪神のキャンプ地、沖縄・宜野座での取材を終え、中日がキャンプを張る北谷へ車を走らせた。到着して真っ先に目に飛び込んできたのが、球場の正面玄関にできた黒山の人だかり。テスト入団した松坂の会見を待つ数十人の報道陣だった。

 2002年から10年間、中日担当を務めたが、これほどまでの報道陣の数を見た記憶はない。「マスコミ用の帽子をこんなに配ったことあったかな?」と球団関係者も驚くフィーバーぶりだ。

 キャンプ初日、お目当ての松坂はブルペン投球を回避した。「周りが投げる、投げると思っていたので、入らなかった」とおどけたが、「自分のペースでできた」と納得顔で振り返っていた。

 松坂効果はチームに波及している。「投手陣がいい顔して練習してるよ。大輔のおかげかな」。森監督がしたり顔で笑った。「大輔は今日、投げる予定にしてたけど、やめたみたいだな。まっ、第1クールの5日間の間にどこかで投げるだろ。あれだけ経験と実績があるんだから。どこで投げようが構わないよ。時間をうまく使って、好きにやればいいさ」。15年の日本球界復帰後、3年間でわずか1試合の登板に終わった松坂に、指揮官は調整を一任している。

 信頼を寄せられる背景は…。

 「最初は無理かなと思いながら、監督にテストをお願いした」と述懐した友利編成部国際渉外担当。「心の片隅に、大輔がチームに入れば、ファンの方がナゴヤドームに来てくれるという思いも少しはあった。言葉は悪いけど、客寄せという意味でね。でも、今は違う。ボールが来てるもん。やってほしいな-じゃなくて、やってくれる-と思えるボールがね」と大きな期待を寄せる。森監督も「いいボール投げてるよ、ホントに。俺は燃え尽きる前に、必死で戦おうとするヤツの姿が好きなんだ。そういうのって、実を結ぶことが多いんだよな」と復活を予感するボールを直視できたことが、白紙メニューを手渡せた裏側にはある。

 沖縄自主トレ期間中、こんな一件もあったという。松坂が「外食してきてもいいですか」と聞いてきた。森監督が「いいに決まってるだろ」と返すと、右腕は「他球団の選手との食事なので」と、新天地での自らの立ち位置を考え、球団に迷惑が掛からないかどうかを危惧していたのだという。「そこまで頭が回るのも大輔らしい。中日で絶対にやってやるんだ-という気持ちの表れだと思うね」と友利渉外担当。背番号99の新たな旅路。平成の怪物が歩む復活の道程。2カ月後の開幕まで、話題には事欠かない。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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