【野球】寒風吹く中、連日の屋外打撃…ヤクルト・雄平が放つ逆襲への熱量

 思わず目が留まった。新人合同自主トレが行われているヤクルトの戸田球場。オーバーペースにならないようなメニューをこなすルーキーたちを横目に、荒川河川敷の寒風が吹きすさぶ中、一人のベテランが早々とフリー打撃で快音を響かせていたからだ。今季でプロ16年目を迎える雄平だった。

 昨季は71試合出場で打率・306、2本塁打、32打点。けが人が相次いだ打線を序盤はけん引したが、自身も6月末に右有鈎骨(ゆうこうこつ)を骨折。無念の戦線離脱となった。チームも球団ワーストを更新する96敗を喫して最下位。巻き返しへの意欲は、ひしひしと伝わってきた。

 新人合同自主トレが始まった頃には、雄平はもう当たり前のようにバットを振っていた。温暖な海外や沖縄ならともかく、気温が10度を下回る日もある1月前半の埼玉県。そんな気候の下で、実績もある主力のベテランが屋外でのフリー打撃を連日こなしていたのは、少なからず驚いた。

 「本当は暖かいところでやりたいんですけどね。寒いところでできたら、暖かいところではもっとできるから」と苦笑しながら話した雄平。リハビリ組に混じって汗を流していたが、スイングを見る限りは不安は皆無。寒い中でも屋外でバッティングを行う理由については「外の方が強度は高いので。マシンで(屋内で)打つのは楽」と説明した。

 ロングティーなども含めたグラウンドでのメニュー後は、室内練習場で追加の打ち込み。打撃練習は数人で回すため、1日の個人のスイング数は200ほどだというが、一振り一振りにかける力の入れ方は、はた目から見てもかなり強い。

 キャンプは1軍スタートが決定。自主トレ期間中から相当な質と量をこなしていても「まだまだ全然少ないですよ」と首を横に振る。手の平を見せてもらうと、しっかりとマメができていた。当然と言えば当然だが、準備は抜かりない。

 優勝した15年の首位打者である川端は、昨季は腰椎椎間板ヘルニアで公式戦出場なし。同年打点王の畠山は、4月に左ふくらはぎの肉離れを発症し、15試合の出場にとどまった。故障で離脱した主軸の復活は、チームの浮上に欠かせない条件。そろって順調な回復を見せている面々の中でも、1月の寒風をものともしない熱気をほとばしらせた雄平が、キーマンになりそうな予感がした。(デイリースポーツ・藤田昌央)。

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