【野球】阪神・北條の抱える葛藤、開幕スタメン再び「奪う」

 大きな壁が、目の前に立ちはだかった。2年連続の飛躍を誓った阪神の北條史也内野手(23)が迎えた2017年シーズンは、非常に苦しく、悔しいものとなった。ファンにとってもそうであれば、首脳陣にとっても、そしてそれ以上に、本人にとってはなおさらのことだった。

 昨年は登場曲にWANIMAの「やってみよう」を選曲。auのCMソングで注目を集めたナンバーに思いを乗せる。「何でもやってみようという気持ちで選んだんです」。そのときの心境を語っていた北條から、次第に笑みは消えていった。何をやってもうまくいかない、そんな時期が続いた。

 「打てないから」-。シーズン終盤まで、フォーム改造に着手するなど、もがき苦しんだ。昨季は122試合出場し、打率・273。33打点を挙げるなど、遊撃のポジションをつかみかけていた…かに思えていた。開幕ショートの座をつかみ迎えたが、その後の成績は尻すぼみ。83試合の出場にとどまり、打率・210に終わった。確立させたかった遊撃のポジションも、ルーキー糸原や大和らに譲る形になった。

 それでも今オフは、野球教室に病院慰問、トークショーなど引っ張りだこになった。期待がかかる若虎だからこそ呼ばれているわけなのだが…。そのたびに「そんな暇があったら、練習しろ」などの心ないヤジが飛び交ってしまう。

 期待が大きいからこその、厳しくもあり熱いメッセージ。その思いに姿勢で応える。北條は、退寮した後も鳴尾浜に通い、一人黙々と体を動かし続けてきた。夕方から病院慰問があれば、午前中から昼過ぎまでトレーニング。すべてはファンの声援に、首脳陣の期待に、自分自身の期待に応えるために、だ。

 「開幕からチャンスをもらって、実力がなかったので他の選手に取られて。みんなより上を目指そうと思ったら、気持ちの面でも上回らないと無理かなと思います」

 あえて、言い切った「奪う」という思い。そして今季へ向けた熱い気持ちを「躍」の一文字に込めた。躍動、躍進、飛躍…。「人のことを思わずに、自分のことを考えてやっていきます」。2018年の幕開け、年男の本領発揮だ。今年こそナンバー“ワン”を目指す。(デイリースポーツ・松井美里)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス