【野球】楽天・安楽、飛躍誓う4年目のシーズン「来年ダメなら…」

 もう4年目なのか、まだ4年目と言った方がいいのか。楽天・安楽智大投手(21)は、3年目で初のダウン提示でサインした先日の契約更改の席で、覚悟を口にした。「来年が勝負。僕の中で、来年ダメだったら、もうダメだというくらいの気持ちでやる」

 最速157キロの剛速球で甲子園を沸かせたのは、4年前。2013年センバツで済美を準優勝に導いた超高校級右腕は、押しも押されぬ、世代を代表する聖地のスターだった。楽天にドラフト1位で入団し3年目の今季。初めて開幕ローテの座をつかんだものの、開幕直前で右太ももを痛め離脱。「結局、あれがすべてでした」。6月に今季唯一の白星を挙げただけだった。

 本来ならば先発ローテ入りし、2桁勝利を挙げるなど、飛躍を遂げているはずだった。周囲の期待も、本人の意気込みも相当なものだっただけに、歯がゆいシーズンだった。そのうえ、今季は高卒ドラ1右腕の藤平尚真投手(19)が台頭。8、9月と、チームの大型連敗を止め、CSでも登板したルーキーの出現に、「尚真も出てきて、うかうかしていられなくなってきた。自分の立場も去年とは違う。去年と同じことをしていてはダメ」と危機感を募らせている。このオフ、断食、骨盤トレーニング、初動負荷トレーニング、米ロスへの武者修行など、なりふり構わず、良いと思うものは何でも挑む構えだ。

 11月の秋季キャンプでは、超異例とも言える1日に昼と夕方計2度もブルペン入りする意気込み。岡山・倉敷ではストイックなまでに、理想の投球を追い求める姿があった。「やはり僕は真っすぐしかない」。やはり、安楽の代名詞と言えば、150キロを超える直球だ。今季の最速は、148キロ止まり。巻き返しを図るため、原点に戻ることを選んだ。

 もともと探求心旺盛な安楽は、動画サイトで様々な投手を見て、研究を重ねるのが日課。その中の1人には、江川卓(元巨人)の現役時代の映像もある。与田投手コーチは言う。「よく、安楽に聞かれるんですよ。野茂(英雄、近鉄)さんって、伊良部(秀輝、ロッテなど)さんって、どんなピッチャーだったんですか、って」。弱冠21歳の右腕は、剛速球で鳴らした往年の大投手たちの現役当時は知らない。だが、ファンを魅了したストレートに思いを馳せるこだわりこそが、安楽の追い求める男のロマンなのだ。

 来秋のドラフトでは、大学進学した同級生たちがプロ入りしてくる。世代ナンバー1投手としてのプライドもある。勝負と位置づける4年目の来季、努力の成果を結果で示す。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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