【野球】野球まみれ!オリックス若月が追い求めるモノ

泥だらけのまま福良監督(右から)、藤井打撃コーチから指導を受ける若月(背番号37)
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 高知市の東部総合運動公園野球場で行われたオリックスの秋季キャンプ。連日、9時30分にウオーミングアップを始めて18時までみっちりと練習を行っていた。

 すっかり日も暮れた球場外を歩く若月健矢捕手がいた。真っ黒に汚れたユニホームで足を引きずりながら次の練習メニューへと向かう。その表情には疲労感ではなく、充実感がにじみ出ていた。

 「僕、野球好きなんだなってあらためて実感しているんです。体はめちゃくちゃキツイんですけど青空の下で練習するのが楽しいんです。練習も好きですね」

 久々に笑顔を見た気がした。

 今季のチームは開幕から好調な滑り出しを見せたが、5月にいきなり失速。そのころから正捕手・若月への風当たりが強くなっていった。スタンドからのヤジは日に日にエスカレート。「頼むから辞めてくれ」はまだいい方、痛烈というよりは心ないと言った方がいいひどい言葉が飛んだ。当然、若月の心も痛んだ。自家用車を前に「この車、ぶっ壊したい」といら立ちを見せたこともあった。

 苦しい日々だったと思うが、それでも真摯(しんし)に取り組んでいた。試合に出る日でも出ない日でもワンバウンドを止める練習、スローイング。手を抜いたところは一度も見なかった。いつのころからか打席に入る登場曲を中島みゆきの『ファイト!』に変えた。「僕の今の心境です」と苦笑いで説明した。

 結局、出場試合数は最多の100試合を数えたが、安打、打点、打率は昨季を下回った。

 「悪かった点はありすぎて分からないです」

 秋季キャンプでは福良監督が付きっきりで4時間も打撃を指導した。藤井新打撃コーチからもアドバイスをもらった。「打席でのボールの見え方から変わりました。打球も今までと違う」と手応えを口にする。

 キャンプ途中、代替選手として侍ジャパンに招へいされた。高知から宮崎の合宿。そして東京ドームへ。大会終了してようやく帰阪したが、すぐに志願して参加するアジアウインターリーグ出場のため台湾へと渡った。

 「朝起きて自分がどこにいるのか分からなくなる」と笑うが、「一年中試合をやっていたい。やらないと下手になる。試合をやらないと課題も見えてこないですから」。野球まみれの日々はむしろ歓迎のようだ。

 来季はプロ5年目を迎える。苦しかった今季を糧に、白球を追い続けるこのオフ。その先にグラウンドで最高の笑顔を見せる若月が見えるような気がした。(デイリースポーツ・達野淳司)

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