【野球】CSならではの“情報戦”に注目 予告先発のないセ・リーグの駆け引き

 プロ野球は、CSファーストSの開幕が1週間後に迫ってきた。予告先発のないセ・リーグでは、早くも駆け引きがスタート。DeNA・ラミレス監督は「予告はしなくていいからね。そのルールに従っていくよ」といたずらな笑みを浮かべた。

 CSの先発を託されるような選手は、シーズンでも主戦で活躍してきた投手ばかり。打者にとって全くデータがないという状況は考えにくいが、少しの流れが勝敗の行方を左右する短期決戦。右左の違いや心理的な揺さぶりで、事前の情報戦が効果を発揮することもある。

 印象的なのは巨人と中日が戦った07年のCS第2S(東京ドーム)。当時の落合監督は右投手を予想した巨人の裏をかき、初戦に中継ぎ左腕の小笠原を先発マウンドに送り込んだ。この“奇策”がはまり、一気の3連勝でシリーズを制した。

 現場記者にとっても、ポストシーズン限定の先発予想は大きな仕事。投手がこなす練習メニューや周辺の情報をもとに、正解を目指す。だが複数の投手が同じ行動をするなど、いわゆる“先発隠し”をされることで予想は困難を極める。

 苦い記憶がある。阪神と巨人が戦った10年のCSファーストS(甲子園)。担当していた巨人は初戦が東野、第2戦は内海、第3戦は朝井の先発が大方の予想を占めていた。

 巨人の初戦勝利で迎えた第2戦の当日。報道陣は第3戦にもつれ込んだ場合を想定し、試合前に朝井を取り囲んでいた。だが、意気込みを問われた朝井の様子がおかしい。「え?明日ですか?投げろと言われたら頑張りますけど…」と、苦笑いでロッカールームへと消えていった。

 ふたを開けてみればこの日、第2戦の先発がまさかの朝井。先発当日の投手に試合前取材を行う“タブー”を犯したのは、この時が初めて。朝井からすれば、これから大舞台で投げようとしているのに「明日は?」と聞かれて困惑しただろう。ちなみに試合は内海を予想して打線を組み替えていた阪神を下し、巨人がファイナルSに進出した。

 指揮官の戦略も重要な鍵となる短期決戦。本番直前の駆け引きや情報戦にも注目していきたい。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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