【芸能】木島ユタカ 民謡を基礎にJポップや洋楽カバー うなぎ屋主任は武道館狙う

津軽三味線を手に洋楽やJポップのカバーを歌う民謡シンガー・木島ユタカ=東京・HANDS EXPO CAFE
3枚

 民謡全国大会グランプリの経歴を持つ歌手・木島ユタカ(33)が、民謡で培った芯の太い歌唱力と透明感ある歌声でJポップや洋楽のカバーを歌い人気を集めている。老舗うなぎ屋「神泉いちのや」で主任としてホールを切り盛りしながら夢を追う33歳は一度、民謡を断ち切った過去を明かしながら今後の音楽活動や日本武道館への思いを語った。

 3月9日の昼下がり、東京・東急プラザ銀座7階にあるカフェ「HANDS EXPO CAFE」に木島の声が響き渡る。津軽三味線を手に、インディーズ発売の初ミニアルバム「和のこころ」に収録した楽曲で俳優・桐谷健太(37)が歌った「海の声」、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン(75)の名曲「風に吹かれて」など6曲を披露。登壇後に観衆から声もかけられ、「『声がいい』『歌に心がある』という感想はうれしい。僕の歌を聴いてふるさとの風景や誰かの顔を思い浮かべる。そういうアーティストでありたい」と打ち明けた。

 3人兄弟の末っ子として兵庫県伊丹市で生まれ育った木島は父の影響で5歳から民謡を始めた。1978年から92年まで東京・日本武道館で開催され、日本テレビ系が生放送した「日本民謡大賞」に父が出場するも敗退。「僕がかたきを取る!」と本格的なレッスンに明け暮れた。

 「日本民謡大賞」は第15回で終了したため出場はかなわなかったが、94年から2年連続でジュニアの全国大会グランプリを獲得した。スポーツ好きで伊丹北高校時代はサッカー部主将。Jリーグへの憧れもあったが、大阪スクールオブミュージック専門学校に通い音楽の道に進んだ。

 民謡に限界を感じたのもこの頃からだった。R&Bやポップスにも興味があり、「民謡をやりつつでしたが、声の出し方が違う。切り替えが未熟だったのか、うまくできなくてのどをつぶした。R&Bをしっかり歌ってみようと民謡を断ち切った」とかじを切る。06年に「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION」に参戦するも、セミファイナルで姿を消した。

 少年時代は数々の優勝を誇るも二十代では期待する結果はついてこなかった。27歳の頃に「音楽を続けるかが悩みどころだった」と壁にぶつかった。数々の飲食業をアルバイトで渡り歩いたが音楽に代わってやっていく姿が想像できない。飽き性で目立ちたがりという青年は「音楽だけは続けてきた。自分にとってそれだけ大きなものなんだろう」と再度、音楽と向き合った。

 個性豊かなアーティストが渦巻く音楽界で生き抜くために必要なことを考え、「自分の強みが何かを考えたときにルーツである民謡に立ち返った。そこから、少しずつ現代の曲にこぶしを入れた」と民謡と現代ポップスを併せながら和の世界観を作り上げていった。

 7年目になるうなぎ屋はアルバイトながら実質の“店長”としてホールを仕切る。夢を後押ししてくれる名店では、若い世代の話も聞いて音楽のアイデアを膨らます場ともなっているが、最近は音楽活動も増え、出勤日数も以前よりは減った。「音楽が忙しくなれば辞める」と語り、オリジナル作品発表などメジャーデビューに向けて突き進んでいる。

 たどり着きたい場所がある。「父親が民謡の大会で立った武道館に立ちたい」-。原点回帰の民謡と音楽への情熱を胸に夢舞台への挑戦は続く。

 ◆木島ユタカ(きじま・ゆたか) 1983年6月7日、兵庫県伊丹市生まれ。伊丹北高校から大阪スクールオブミュージック専門学校卒業。94年、コロムビア民謡コンクール全国大会少年少女の部優勝、95年、日本民謡ジュニアフェスティバル全国大会グランプリ。テレビ、ラジオなど民謡番組に出演。身長178センチ、72キロ。独身。日本酒好き。

 (デイリースポーツ・上野明彦)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス