細貝萌 アギーレJでの奮起に注目
元24番目の男は燃えていた。「今までやったことがあるのはダブルボランチかトリプルボランチのアンカー。その前のポジションはほとんど経験がなかった。高い位置でやれればいいですね」。守備的中盤のスペシャリストとして、W杯ブラジル大会メンバー入りも期待されていた細貝萌(ヘルタ)である。
5日のウルグアイ戦では、逆三角形状に並んだ中盤の右サイド(右インサイドハーフ)を担当した。本来は自ゴールに近い「アンカー」と呼ばれるポジションでプレーしている。FWに近い位置でプレーする分、攻撃にも参加しないといけない。守備のスペシャリストからの脱皮が必要になる。
ザッケローニ前監督からも一定の評価は受けていた。最後まで入れるか迷った選手として「細貝と(中村)憲剛です」と名前を挙げられた。だが、攻撃的な選手を多く連れていかれたため、細貝は選外に。結果論だが、細貝がいれば長谷部が負傷をおしてプレーをする必要もなかったかもしれない。結果論だが。
アギーレジャパンでは不慣れといっても、インサイドハーフという「居場所」を与えられている。これでやりがいを感じないはずがない。「高い位置でボールを奪いにいくことだったり、攻撃につないでいくことだったり」と挙げ、ポジションをつかみ取るため奮闘している。
ほかのインサイドハーフ候補との争いはし烈だ。柴崎岳(鹿島)は技術が高く展開力がある。アギーレ監督は利き足を重視するため、左インサイドハーフには田中順也(スポルティング)のような左利きの選手が招集される可能性が高い。W杯ロシア大会までスタメンを守るには、当面は今の右インサイドハーフで監督に認められる必要がある。
ザックジャパンとの違いを問われた細貝は「毎試合、自分はプレーしていないですし、ブラジルにも行っていない」と恐縮しつつも、「当然チームの色は変わってくる。どんどん浸透している」と語った。アギーレ色の中で、どこまで存在感を発揮できるか。ロシアへ向けた戦いは始まっている。
(デイリースポーツ・広川 継)