稽古量少ない!?横綱白鵬が勝てる理由

 1月の大相撲初場所は、横綱白鵬の2場所ぶり28回目の優勝で幕を閉じた。

 その白鵬が新横綱として臨んだ07年7月の名古屋場所を前にした時期のこと。「白鵬はテレビ出演など土俵外の活動が多い」「稽古量が少ない」と指摘する声があった。

 番付発表(初日の約13日前に行われることが多い)から、所属する宮城野部屋で本格的な稽古を開始し、初日の1週間前から出稽古を行い、急ピッチで仕上げていた。このパターンは今も変わっていない。

 例えば、今回の初場所(1月12日初日、両国国技館)の白鵬は、昨年の稽古納めは12月29日、新年の稽古始めは1月4日。6日の時津風部屋から出稽古を開始し、9日の伊勢ケ浜部屋への出稽古で場所前の稽古を打ち上げている。

 その一方、綱とりがかかった大関稀勢の里は昨年12月31日に稽古納め、今年1月2日に稽古を開始し、10日まで激しい稽古を続けていた。結局7勝8敗で3月の春場所はカド番を迎えてしまうが、白鵬よりも稽古量が多かったことには、異論がないところだろう。

 白鵬は昨年7月の名古屋場所中に、稽古量が少ないのでは、という指摘について、以下のように答えている。

 「稽古は四股とてっぽう、すり足をしっかりやることが大事。自分一人ででもできるものだ。そして、それをしないと勝てなくなることも分かっている」

 確かに私が相撲担当のころ、白鵬の稽古で印象深いのは四股、すり足でみっちり汗を流している姿だった。白鵬が出稽古に向かった先の部屋の親方は「あれだけ四股、すり足をやるのはたいしたものだ」と、感心していたものだ。

 ただし、日本相撲協会の公式行事以外の、テレビ出演や独自の活動が多いのも事実。同じ横綱の日馬富士と比べれば、“副業”の頻度は明らかに異なる。稽古が少ないのになぜ勝ち続けられるのか、という声は至る所にあった。

 では、横綱昇進8年目を迎え、何も変わっていないのか、と問われれば、変化している部分も多くある。

 師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)は度々「体に気をつけるようになった」と話している。場所中の飲酒を減らし、栄養学の専門家の指導の下で野菜中心の食生活に変えた。器具を用いた筋力トレーニングを導入し、サプリメントを積極的に摂取するようになった。

 また、大相撲の古い文献等にも興味を示し、双葉山や大鵬など、過去の大横綱を研究し、学んでいることは、よく知られている。横綱になって交友関係が広がり、大企業の創業者など、異分野の成功者から話を積極的に聞くようにもなった。

 基礎を最重視する稽古の信念と、自身の力量への自信は不変の白鵬。その上で、土俵以外での肉体的、精神的な向上心が、少ない稽古量による不安説を一蹴する原動力となっているように思う。

(デイリースポーツ・山本鋼平)

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