高梨沙羅が笑顔と涙の銅メダル!「人生で取ったメダルで一番嬉しい」悪夢の失格から1465日 よぎった引退、続いた試行錯誤 丸山、小林、二階堂との絆のジャンプで結実 戦友・伊藤との20秒間の抱擁で涙溢れ出す

 「ミラノ・コルティナ五輪ノルディックスキー・ジャンプ混合団体・決勝」(10日、プレダッツォ・ジャンプ競技場)

 日本は丸山希(27)=北野建設=、小林陵侑(29)=チームROY=、高梨沙羅(29)=クラレ=、二階堂蓮(24)=日本ビール=で挑み、合計1034・0点で同種目初のメダルとなる銅メダルを獲得した。高梨にとっては18年平昌五輪のノーマルヒル以来2大会ぶりのメダルとなった。

 4人が紡いだ絆のジャンプが、過去の悪夢を振り払っていった。1人目の丸山から安定したジャンプを繋ぎ、1本目終了時点で前回王者のスロベニアに次ぐ2位。金メダルも狙える位置で折り返した。

 2本目も丸山が97メートルを飛ぶと、高梨は控室から笑顔で拍手。小林が再び2位に浮上させた。し烈な2位争いとなり、重圧のかかる中で迎えた3本目。力強い踏み切りから97メートルを飛び、丸山、小林のもとへ辿りつくと、ハイタッチを交わし笑顔がこぼれた。「ごめんなさい」と呟いたが、しっかりと仕事を果たし、二階堂へとバトンをつないだ。二階堂が101メートルの大ジャンプで表彰台を決めた。メダルが決まった瞬間、高梨は両腕を突き上げて歓喜した。

 心からの笑顔を浮かべたながら、各国の選手とはぐを交わしていった。ずっと笑顔を浮かべていた高梨だったが、4年前の団体戦でともに戦った伊藤有希とハグを交わした涙がこぼれた。丸山の台頭もある中で今回はメンバーには入れなかった戦友。20秒にも及んだ熱い抱擁で思いを重ねた瞬間に、お互いに涙が溢れ出した。

 高梨は開口一番、「みんなのおかげです」とし、「本当に一緒に飛んでくれた仲間、日本チームのみなさんのおかげで練習、個人戦以上にいいジャンプができた」と感謝した。

 4年前の悪夢を払拭した。「毎回チーム戦となると、足を引っ張ってしまう試合が多く、団体戦の苦手意識が、硬くなって自分のジャンプができないことが続いていて選ばれたときは自信もなくて、コーチに相談したこともあったが、トレーニングで自信を持って試合に臨めて、自分だけの力だけじゃなくまわりのみなさんの支えもあって、メダルも取れて本当に感動しました」と、声を震わせ「間違いなく今日のメダルが人生で取ったメダルで一番嬉しい。すごく幸せな日」と、メダルを優しく握った。

 4年前の北京五輪の混合団体。高梨の1本のジャンプがスーツ違反の失格で0点になり、日本は4位に沈んだ。「ごめんなさい、本当にごめんなさい。自分のせいだ、自分のせいだ」。試合会場では1人で立ち上がれないほど泣きじゃくり、翌日には自身のインスタグラムに真っ黒の画像と謝罪文を投稿。自分を責め続けた。

 「競技を辞めるか辞めないか、すごく考える時間が長かった」

 責任を取るため一時は引退を真剣に考えた。それでも競技を退かなかったのは、SNSに届く温かいメッセージや、応援してくれる関係者からの支えがあったからと、高梨は言う。「辞めることはやってしまったことへの償いにはならない。競技をしている中で少しでもできることがあれば」。涙を拭き、現役続行を決断した。

 直近2年は、変わりゆくルールに必死に食らいついてきた。24年夏にルールが改正され、着地のテレマークが重視される採点基準に変わった。圧倒的な飛距離で優勝を重ねてきた高梨にとっては、武器を奪われたようなもの。「飛んでなんぼの競技だと思っていた。今はテレマークの練習をしてこなかったのが一番の後悔」。24~25年シーズンから苦戦が続き、W杯13季連続表彰台の記録が途絶えることになった。

 「いろいろ道具やルールが変わる中で自分も変えていかないと、この世界で生き残っていけない。生き残っていきたい気持ちはある。固定観念なく、いろんなものを試していきたい」

 29歳とベテランの域に入っても変化を恐れなかった。テレマークを入れやすくするため、昔から使用していた固い板を、思い切って柔らかいものに変更。テレマークの課題克服のために、日常生活から右足を少し前に出し、階段から降りるときもテレマーク姿勢で降りた。片足軸のトレーニングも増やし、課題克服のための努力は怠らなかった。

 4年の紆余(うよ)曲折を経て、たどり着いた自身4大会連続のミラノ・コルティナ五輪。日本を立つ前には「自分くらい期待してあげたい」と悲壮感が漂う意気込みも口にしたが、イタリアの地で五輪の悪夢の払拭し、メダルをつかんで見せた。一度も笑うことがなかった北京五輪から1465日。高梨がようやく五輪で笑った。

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