【振付師・宮本賢二の解説】演技中に2度の笑み 常に自己分析ができている宇野

 「平昌五輪・フィギュアスケート団体」(9日、江陵アイスアリーナ)

 団体戦が始まって2種目が行われ、日本は男子ショートプログラム(SP)で初の五輪に臨む宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=がSPで103・25点をマークし、1位に与えられる10点を獲得した。16日からの個人戦でライバルとなるGPファイナル王者のネーサン・チェン(米国)、世界選手権3度優勝のパトリック・チャン(カナダ)らを圧倒した。ペアSPでは須崎海羽(みう、18)、木原龍一(25)組=木下グループ=は8位と健闘し、3点を獲得。日本は順位点合計13点で3位発進した。

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 【振付師・宮本賢二のエンジョイ!!フィギュア】

 「魔物がすむ」と言われる五輪の初戦。団体戦の男子SPで有力選手が次々と失敗する中、最終滑走の宇野選手は非常に落ち着いていた。演技前、名前のコールに応える方向を間違えて照れ笑いする余裕を見せ、冒頭の4回転フリップで着氷が乱れてもそれを引きずらなかった。音の取り方、ステップでのていねいなターンなどもハイレベルだった。

 普段はフワッとしたおおらかな性格だ。だが、スケートになると高い集中力を発揮する。トリプルアクセルに成功した時には思わず笑顔が出たが、直後の右手を上げる演技ではいつもより力強く振り上げていた。演技が緩まないように、グッと引き締めたように見えた。2度ほど笑って演技していたのは、滑りながら常に自己分析ができているのだろう。

 冒頭のジャンプミスも技術的に大きな失敗ではなく、入りのスピードがやや遅かったか。そういった細かい点や氷の状態を確かめる意味でもいい経験になっただろう。何より団体戦での自分の役割を果たし、高得点で1位を獲ったことは大きな意味がある。

 ペアの須崎・木原組も、日本チームの勢いを持続するいい演技を見せた。これぞ団体戦というだいご味を感じた初日だった。

 ◆宮本賢二(みやもと・けんじ)1978年11月6日、兵庫県姫路市出身。シングルからアイスダンスに転向し、全日本選手権優勝など数々の栄冠を手にした。2006年に現役を退いた後は振付師として羽生結弦や荒川静香、高橋大輔、織田信成、宮原知子など国内トップスケーターのほか、さまざまなアイスショーの振り付けも行い、テレビなどでも解説を行っている。

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