寺本、女子個人総合52年ぶり入賞!充実の表情で現役引退示唆

 「リオ五輪・体操女子個人総合・決勝」(11日、リオ五輪アリーナ)

 女子個人総合決勝を行い、予選12位の寺本明日香(20)=レジックスポーツ=は57・965点で8位に入り、日本勢では1964年東京五輪で6位の池田敬子以来52年ぶりの入賞を果たした。最後の跳馬で全体6位の15・100点を出すなど、持ち味の安定感が光った。世界選手権3連覇中のバイルスが初優勝。予選9位の村上茉愛(日体大)は56・665点の14位だった。

 跳馬の助走路に立つ寺本の脳裏に、9位に終わった昨年の世界選手権の記憶がよぎった。同じく最終種目だった平均台の着地で尻もちをつき、6位入賞の村上と明暗が分かれた涙の日。「思い切って跳ぶんだ、と集中した。あの悔しさを絶対に晴らしたいと思った」。最後になるかもしれない五輪を締めくくる演技で、大技「チュソビチナ」が鮮やかに決まった。

 「走る寸前にふくらはぎがけいれんして緊張した」という。それでも、決意を込めて力強く踏み切った。今では誇れる得点源だが、何度となく「体操をやめよう」と悩まされた因縁の種目だった。

 ロンドン五輪の直後、跳馬の助走で転倒した。左手を骨折し、恐怖心から跳べなくなった。同じように跳べなくなった先輩に「いいじゃん、明日香は別の技で跳べるんだから」と背中を押され「その言葉に救われた」と寺本。難度を上げて習得したのが「チュソビチナ」だ。

 エースとして日本を団体総合4位に導き、個人総合では52年ぶりの入賞。しかし、来年以降の世界選手権や4年後の東京五輪は「あまり考えていない」とし、2度目の五輪を最後に第一線から退く可能性を示唆した。「自分の演技をやり切れて満足」。もう涙はない。20歳の顔に柔らかな笑みが広がった。

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