上村団長嘆き節「柔道なぜ勝てん」

 日本選手団の上村春樹団長(61)が4日、ロンドン市内で五輪前半戦を総括。現時点で金メダルが2個と伸び悩む不振の最大の要因が、自身の出身競技である柔道にあると指摘。全日本柔道連盟会長として「柔道で金4~6個は欲しかった」と嘆き、「なぜ勝てないのか」と切実な思いを訴えた。

 誤算だった。上村団長は「世界5位、金15個を目指したが、現時点で2個。15個取るためには、今の時点で6~8個の金が必要。不振の原因は前半戦で期待した柔道、体操、水泳のうち、柔道にある」と分析。「柔道は4~6個の金メダルを取る力があったが(松本薫の)1個だけとは」と苦渋の表情だった。

 全柔連会長として日本の柔道崩壊を嘆いた。「力を出し切れなかった。一番、金に近かった女子の軽量級であっさり負け、男子の軽量級も金が取れない。1、2日目で勢いがなくなった」。特に男子は史上初めて「金ゼロ」に終わった。1976年モントリオール五輪無差別級金メダリストは「安全に勝とうとして策におぼれた。調整段階では調子がよかったのに、なんで勝てないのか」と嘆き節が続いた。

 一方、前半戦で日本は金で伸び悩みつつ、銀&銅ラッシュは続く。上村団長はここで持論を展開。「銀には『負けて銀』と『力を出し切っての銀』の2つがある。アーチェリー(古川高晴)、重量挙げの三宅宏実、水泳(鈴木聡美)は後者の力を出し切った銀。だが、柔道は前者。負けて銀」。第5代講道館館長として紳士的で冷静な口調も、はらわたは煮えくり返っていたことだろう。

 とはいえ、覆水盆に返らず。団長の立場で日本の競技全体にハッパをかけた。「目標の『世界5位』に近づけたい」と下方修正はせず、「まずは前回の金9個を上回りたい。体操の種目別、サッカー、陸上の室伏広治。レスリングには大量生産してもらう」。自身の金メダル獲得は大会15日目の大詰め、閉会式の前日だった。非情の追い込み指令発令で、柔道惨敗の雪辱を果たせるか。

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