“シンデレラガール”聡美、銀獲得だ!

 「ロンドン五輪・競泳女子200M平泳ぎ・決勝」(2日、水泳センター)

 女子200メートル平泳ぎの鈴木聡美(21)=山梨学院大=が2分20秒72の日本タイ記録で銀メダルに輝いた。鈴木は同100メートル平泳ぎの銅メダルと合わせ、日本の競泳女子で初めて同一大会の個人種目で複数のメダルを獲得した。ソニ(米国)が2分19秒59の世界新記録で2連覇した。

 大会前までノーマークだった鈴木が、今大会日本競泳陣初の銀メダルをもたらした。「自分におめでとうと言いたい」。ロンドンでブレークしたシンデレラガールは、表彰台で屈託のない笑顔を見せた。 「150メートルまでソニ選手について、最後はお互いの勝負」という計算通りのレース運び。日本女子選手ではバルセロナ五輪の岩崎恭子以来となる同種目の金メダルは水の女王に阻まれたが、「100よりいい色のメダルを取れて良かった」。さらには、日本の女子で1大会の個人種目メダル2個が史上初だと伝えられると、「えっ、そうなんですか!私、そんなすごいことやっちゃったんだ!」と、つぶらな瞳を大きく見開いた。

 中学生の時、アテネで北島康介が金メダルを取る姿に平泳ぎでの五輪挑戦を意識したが、09年に山梨学院大に入学するまでの自己ベストは2分32秒25。現在の学童(小学生)記録にも及ばなかった。「国際大会に出られるような選手になりたい」という鈴木に、神田忠彦コーチ(53)は「3年生になった時にユニバーシアードに出られるように頑張っていこう」と声をかけたという。

 だが入学後に急成長。高校までクラブで教えた斎藤和孝コーチ(47)が「脚の良さを殺してしまうと、何もない選手だった」と振り返る原石は「泣きながら泳いだ」という厳しい練習で一気に磨かれた。1年生で日本記録を更新。代表デビューまで果たした。

水中では“キックの鬼” そんな鈴木が、五輪の舞台でさらに大化けした。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは「屈託のなさ。純真さ」を急成長の精神的要因とし、「聡美は自分の潜在能力をまだ自覚していない。次の五輪では、男女含めてのエースになるかも」と絶賛した。

 ネット上では「女優の故・夏目雅子さんの再来」と騒がれている。77年のCM『クッキーフェイス』での水着姿と小麦色の肌、目元のイメージからだが、本人にとっては生まれる14年も昔の話。「うれしいですが、申し訳ない」。神田コーチは「キックがいい」。表彰台では夏目さんばりの“クッキーフェイス”、水中では“キックの鬼”。この両輪を武器とした新ヒロインは、次のリオデジャネイロ五輪で「もう1ついい色」のメダルを狙う。

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