海老沼“旗迷惑”前代未聞判定間違い!

 再判定で逆転勝利となった海老沼匡(右)。韓国のチョ準好(左)はぼう然と立ちつくす(撮影・出月俊成)
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 「ロンドン五輪・柔道男子66キロ級・準々決勝」(29日、エクセル)

 柔道男子66キロ級3位決定戦で、海老沼匡(22)=パーク24=がパベル・ザグロドニク(ポーランド)を倒して銅メダルを獲得した。準々決勝のチョ準好(韓国)戦では、延長にもつれ込み旗判定へ。一度は相手に旗3本が上がりながら、審判が協議した後、海老沼に旗3本。旗判定が覆るという異例の事態を経て、メダルを手にした。

 最後は日本男子柔道を背負って立つ男の矜持(きょうじ)を見せつけた。3位決定戦。お互いに技ありを奪い合い、迎えた延長2分2秒。大腰をさく裂させ、豪快に一本勝ち。ただ、つかみ取った銅メダルにも笑顔はなかった。

 一度は死んだ身で挑んだ。チョ準好との準々決勝。過去2戦2勝の相手に苦しんだ。4分50秒には右ひじを痛めるアクシデントに見舞われると、延長1分38秒には足技で一度は有効の判定を得たが、取り消される不運。極めつきは旗判定だ。有効を取り消されている海老沼が優勢と思われたが、相手を示す青い旗が3本上がった。

 会場の大ブーイングの中、ジュリーと呼ばれる畳以外の審判員が協議した上、主審と副審に再考をうながした。国際柔道連盟(IJF)の川口孝夫審判委員が「こんなこと見たことない」と話す異例の2度目の旗判定は、海老沼を示す白3本。その後、IJFのバルコス審判委員長は「海老沼には有効に限りなく近いものがあった。ジュリーの責任は柔道の精神を維持すること。真の勝者が勝者として、畳を出ていくようにする責任がある」と説明。首の皮一枚で救われ、準決勝に進んだ。拾った命で、再び金メダルに挑んだが…。

 あこがれの存在に肩を並べたかった。所属先のパーク24の吉田秀彦監督は五輪初出場での金メダル。柔道を始めた5歳の時、92年バルセロナ五輪の吉田氏と、古賀稔彦氏のドキュメンタリー番組を見て、五輪の舞台を夢見た。

 「自分もあの舞台に立ちたい」‐。講道学舎、明大と進む歩みも吉田氏と同じ。そして、海老沼の柔道にほれ込んだ吉田氏に口説かれ、パーク24へと就職した。ただ、同じ初出場で金メダルを獲得した師匠と同じ色のメダルを獲ることはできなかった。

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