救助の辛坊氏「もう1回、とは言えない」

 会見中、涙をぬぐう辛坊治郎氏=東京・新宿の吉本興業東京本部(撮影・西岡 正)
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 小型ヨットで太平洋横断中に遭難し、救出されたニュースキャスターの辛坊治郎氏(57)と、全盲のセーラー・岩本光弘氏(46)が21日深夜、東京・新宿の吉本興業東京本部で会見した。

 午前0時15分、辛坊氏は無精ヒゲを伸ばし、憔悴しきった表情で報道陣50人の前に姿を見せると、深々と頭を下げてから、「ホントにご迷惑おかけしました。救助して頂いて、心から感謝してます。海上自衛隊、海上保安庁の皆様には訓練でも経験したことがないという高い波の中、来て頂きました」と謝罪と感謝の言葉を並べた。

 海が荒れて悪状況の中での生還劇となっただけに、「たった2人の命を救うため、11人の海上自衛隊の方が犠牲になるかもしれなくて…。僕はホントに素晴らしい国に生まれました…」と涙をこぼし、声を詰まらせた。

 6月8日に大阪北港を出港し、わずか14日目の悪夢。辛坊氏にとっては、学生時代から抱いていたという大航海の夢は道半ばで絶たれたが、「これだけ迷惑をかけて、口が裂けても『もう1回やりたい』とは言えません。正直言うと、今後どの面下げて…(キャスター業に取り組むのか)という気がします。しばらく自らを省みる時間がいると思います」と神妙に語っていた。

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