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坂口亜弓、交通事故から11カ月で初V

 「陸上 日本選手権兼世界選手権代表選考会・第1日」(26日、新潟)

 女子円盤投げ決勝などが行われ、坂口亜弓(旧姓高橋、25)=STT=が53メートル58で、悲願の初優勝を飾った。昨年8月に交通事故に遭い、選手生命も危ぶまれた逆境を乗り越えての復活劇だった。

 試合後の坂口の目には光るものがあった。単に初の日本一の称号への喜びだけではない。この約11カ月の過程が頭の中を駆け巡る。「練習が積めていない自覚はあったので、初めて勝てて素直にうれしい。記録的にも53メートル台まで持ってこれてうれしいです」。

 昨年8月、夫翔太さん(28)と結婚したばかりの坂口を、悲劇が襲った。夫と手をつないで歩道を歩いていた時、よそ見運転をしていた乗用車が夫婦に突っ込んできた。「きてるなっていうのは分かっていた」(坂口)。ただ、当時翔太さんはアキレス腱を断裂しており、素早く動くことができず。「一緒に逃げようと思ったら、一緒にひかれてた」。まともに衝突した坂口はボンネットの上に乗り上げた後、コンクリートの地面にたたき付けられて、頭を打ち付けた。血が噴き出し、コンクリートには血だまりができた。幸い肩を脱臼で済んだ翔太さんからは、後に「死んだと思った」と、言われたという惨状だった。

 幸い一命は取り留めたものの、1カ月以上動けない日々が続いた。寝返りをうつだけで吐き気がした。「もう日常に戻ることだけで必死だった。競技のことを考えていられなかったし、戻れるとも思ってなかった」。

 それでも徐々に体が動いていく喜びを感じながら日々を過ごしていくうちに、自然と競技へと戻っていた。九死に一生を得た経験から、競技に臨む姿勢も変わった。「いつ何があるか分からないし、競技をやれる期間は限られている。いつやれなくなるか分からない。昔は勝ちたいばかりだったけど、今はとりあえず楽しもうと思っています」。

 そんな坂口に勝利の女神は微笑んだ。昨年まで4年連続日本ランキング1位も、これまで2位が3度と日本選手権のタイトルだけは遠かった。運命に導かれるように立った初めての表彰台の1番上で、人なつっこい笑顔が咲いた。

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