米ロサンゼルスの連邦地検は１１日（日本時間１２日）、銀行詐欺容疑でドジャースの大谷翔平選手（２９）の元通訳、水原一平容疑者（３９）を訴追したと発表した。違法賭博の借金を返済するため、大谷の口座から胴元側に１６００万ドル（約２４億５０００円）以上を不正に送金したとしている。

　水原容疑者のギャンブル依存症の実態も明るみとなった。米捜査当局がこの日開示した裁判資料には、水原容疑者が賭博の沼に足を踏み入れ、やがて抜け出せなくなり、破滅していく姿がリアルに記されている。

　球団から解雇通告を受けた後、遠征地の韓国から米国に戻った３月２１日にロサンゼルス空港で身柄を確保され、捜査に同意する書類に署名した同容疑者。裁判資料には、押収された携帯電話に残されていた胴元との生々しいやり取りが時系列でつづられている。

　水原容疑者による違法スポーツ賭博は、２０２１年１２月から今年１月までの約２年間で約１万９０００回、１日平均２５回繰り返された。賭け金は１０ドル（約１５３０円）から最高で１６万ドル（約２４４８万円）、１回平均１万２８００ドル（約２００万円）にものぼる。

　勝った金額は約１億４２００万ドル（約２１７億円）に対し、負けた金額は１億８３００万ドル（約２８０億円）で、収支はマイナス４１００万ドル（約６３億円）。現時点で大谷の口座から不正送金した額は１６００万ドル（約２４億５０００万円）以上とされているが、その額を大幅に超える負債を抱えていることになる。

　大谷が試合に出場している日もギャンブルに興じることが日常茶飯事だった同容疑者。負け分を取り返すために賭け金の上限を引き上げることを胴元に求め続け、「最後にもう一回」「母に誓ってこれが最後」「最後の最後」など何度も懇願。その一方で「知ってのとおり、僕が支払わない心配は必要ないですから！！」と返済に自信を見せるやり取りも残っていた。

　同容疑者と連絡が取れない胴元から「今ビーチで（大谷が）犬の散歩をしているのを見てるよ。彼に聞いてみようか」と脅迫めいたメッセージを受けたこともあった。

　日本ハム時代から１０年以上の時を過ごし、家族以上に大谷と近い存在と言っても過言ではなかった同容疑者。問題が明るみに出た３月２０日、胴元に送られたメッセージにはこうつづられていた。「彼から（お金を）盗んだんだ。もう、僕は終わりだ」－。悲しくも痛々しい最後だった。