大谷 「確実に前進」打者12人から8奪三振 中5日の二刀流調整で2失点
「練習試合、ブルワーズ-エンゼルス」(2日、メリーベール)
エンゼルスの大谷翔平投手(23)がブルワーズとの練習試合に先発し、2回2/3を投げて打者12人から5者連続を含む8三振を奪った。被安打4、失点2。全52球のうち35球がストライク。最速は96マイル(約154キロ)だった。
初実戦となった2月24日のブルワーズ戦から中5日。同26日と27日には指名打者として出場するなど、二刀流調整で臨んだマウンドで大谷が奪三振ショーを披露した。
初回、先頭テイラーをフルカウントから外角低め、152キロ直球で凍りつかせる。続く日系4世の有望株、ヒウラには甘く入った初球、148キロ直球を左中間二塁打されたが、メジャー経験のあるフランクリン、チョイを連続三振に斬り捨てピンチを脱した。
この日の相手はマイナー選手主体の「Bゲーム」と呼ばれる、投手の調整を目的とした試合。大谷には「1回上限20球」の特別ルールが適応された。
二回はいきなり3連打を浴びた。最初の2本の安打はいずれもカウント1-2からの4球目をとらえられ、無死二、三塁。7番ウィルソンにはワンストライクからの2球目、ほぼ真ん中の152キロ直球を中前へ運ばれ2点を失った。「追い込んでからもう少しちゃんと投げれるところはあった。投げ切れなかったので、そこらへんは丁寧にいくところかなと思います」と反省した。
適時打を許した後はフールを140キロのフォークで空振り三振。左打者のデービスには130キロのバックドア・スライダーで見逃し三振。ここで1イニング上限の球数に達し攻守交代となったが、粘りの投球を披露した。
二回と三回の味方攻撃中には左翼線際にあるブルペンで壁当てを繰り返し、体をほぐした。米国では日本で許されたベンチ前のキャッチボールができず、初登板となった2月24日のブルワーズ戦ではベンチに座って戦況を見守るしかなかった。しかし、この日はしっかり対策を立て、「ネットスローの一環としてこういう感じでやっていこうかなと思います」と話した。
スライダーが冴えわたったのは三回だ。2巡目となった先頭テイラーを2球連続見逃しスライダーで追い込み、最後は151キロ直球でバットに空を切らせる。初回に二塁打を許したヒウラには149キロ直球、128キロスライダー、125キロスライダーで空振り三振。最後の打者、フランクリンはワンボールから2球連続スライダーで空振りさせ、154キロ直球ファウルの後、114キロカーブで見逃し三振。「マウンドに慣れてきたというのもあると思う。カウント球の変化球をしっかりコントールしようかなと思っていたので、そこらへんはうまくできた」。40キロの落差で相手の息の根を止めた。
登板前の2日間はブルペンで入念にフォームをチェック。セットポジションに入るとじっと自分の足を見つめてバランスを整え、体に覚え込ませるようにフォロースルーまでの一連の動作を繰り返した。「(マウンドの)傾斜はちょっと強いので正しく投げれば、軽く投げてもそれなりのボールが行くと思う。順序を守るのがすごく大事。練習からしっかり取り組むことがすごく大事になる」。
初実戦は1回1/3、31球を投げてソロ被弾を含む2安打2失点。この日は2回2/3、52球を投げて4安打2失点。マイナー選手主体の打線ではあったが、8つのアウトはすべて三振だった。「アリゾナに来て初回のピッチングから確実に一歩ずつ前進してる。順序よくいいリズムでこれてるじゃないかなと思います」。大谷にとって大きな手ごたえをつかむ登板になったことは間違いない。