「上方歌舞伎の火は消えない」片岡愛之助、新たな劇場に期待 京都で9月に上演される“ルパン歌舞伎”は古典への入口に?
歌舞伎俳優の片岡愛之助と中村米吉が、アニメ放送開始から55周年を迎えた人気漫画『ルパン三世』を原作にした新作歌舞伎の第二弾『流白浪燦星 碧翠の麗城(るぱんさんせい へきすいのれいじょう)』に、それぞれ主人公・流白浪燦星と、ヒロインの瀬織姫役で出演。9月に京都で上演される。
7月27日に大阪市内でおこなわれた会見では、5月で閉館した「大阪松竹座」(大阪市中央区)への思いと、アニメやゲームを原作にした歌舞伎作品の意義について語る場面があった。
■ 愛之助「ホームグラウンドがなくなって寂しい」女好きの怪盗・流白浪燦星が、自由を夢見る瀬織姫と出会い、一緒に幻の古城に秘められた宝を探しだすという「碧翠の麗城」編。有名なルパン作品の台詞やシーンの引用に加えて、古典歌舞伎のパロディも随所に盛り込み、歌舞伎初心者もコアなファンも楽しめる内容となっている。2人にとって関西で歌舞伎の舞台に立つのは、大阪松竹座のさよなら公演以来だ。
愛之助は「僕たち上方歌舞伎の人間にとっては、ホームグラウンドがなくなってしまって寂しい。(最終日の)次の日も、思わず見に行っちゃったし」とロスの大きさを語り、米吉も「私は江戸(歌舞伎)の役者かもしれませんが、我が家のルーツは上方。歌舞伎公演ができるのが、関西では南座しかなくなってしまったことに、すごく不安な気持ちはあります」と打ち明ける。
その一方で愛之助は「これで上方歌舞伎の火が消えたわけではないし、また道頓堀に芝居小屋が建ったらいいというのは、僕たちだけじゃなくてお客様も思ってくださっているはず。そこに向かって僕たちは進むしかないです」と改めて強い決意を語り、米吉も「(東京の)歌舞伎座や(名古屋の)御園座がなかった期間も、歌舞伎はつづいていました。芝居小屋が復活するまでに、関西での歌舞伎の熱量をもっともっと上げていきたいので、関西での公演を少しでも良いものにできれば」と続けていた。
■ 新作歌舞伎は古典への“入口”にまた、近年アニメやゲームを原作とした新作歌舞伎公演が増え、新しい観客層を取り込む一方で、古典歌舞伎作品に人が流れないのでは…と危ぶむ声もある。それに対して愛之助は『流白浪燦星』の反響を踏まえて「歌舞伎を観たことない方への入口を広げたいと思って上演しましたが、実際に『今度は古典歌舞伎を拝見したい』というお声をたくさんいただいたので、意義があったと思います」と、歌舞伎を未来につなげる大きな手段となっている手応えを語る。
さらに米吉は『新作歌舞伎 ファイナルファンタジー�]』(2022年)に出演したときの経験として「どうやら日本語がわからないらしい外国人の方が見に来てたんですが、最初から最後までずっと泣いていたんです。ゲームをやっていたらストーリーがわかるから、言葉の壁を超えることができる部分があるんだと思いました」と、海外層にまで広がる可能性を示唆した。
そして米吉が「イタリアのメローニ首相が『ルパン三世』が好きだと聞いたので、ぜひ南座に来ていただきたいと思います」と、大きな野望(?)を口にすれば、愛之助も「ご希望があれば、第三弾や第四弾も作りたい。やろうと思えばどこまででもやれると思いますが、私たちが高齢になっていくと、アクションがどこまでできるのかが心配です(笑)」と、ライフワークにする意欲も見せていた。
愛之助と米吉のほかには、市川笑也、市川笑三郎、市川青虎、市川猿弥、市川中車、坂東彌十郎などが出演。京都公演は9月2日~26日に「南座」(京都市東山区)で上演。チケットは特別席1万7000円、1等席1万6000円、2等席9000円、3等席6000円で、8月9日から発売開始。来年2月には福岡でも公演あり。
取材・文・写真/吉永美和子
(Lmaga.jp)
