ランチコース5千円台~高級寿司店が手掛ける、わずか11席の大阪駅直結カジュアル業態が人気
これから年末にかけ、食事会などが増える時期。手札に加えておきたい話題店のひとつが、漁港直送の魚介類を使った寿司を楽しめる新業態の寿司店「産直鮨 一石三鳥」だ。JR大阪駅直結の駅ビル「イノゲート大阪」(大阪市北区)に8月の登場以来、昼・夜すべ1万円以下で提供されるコスパ抜群なコース料理が好評で、予約必須の人気店となっている。「健全な価格破壊」を掲げる同店を取材した。
東京や大阪を中心に「手の届く高級感」がコンセプトの寿司や焼肉店などを展開する「一石三鳥グループ」(代表:米田拓史)。今年10月に発表し、一部店舗で実施した「万博未使用チケットで5千円割引」という大胆なキャンペーンでは2000名が予約。賛否両論の大きな話題となり、関西の飲食業界にも強いインパクトを与えた。
そんな同社の大阪での寿司業態では3店舗目は、福島エリアにある隠れ家的な空間でコース料理を堪能できる2店舗よりも、日常づかいできるカジュアルさを意識。というのも、新店がある飲食ゾーン「バルチカ03」は働く「おっさん=03」にうれしい立ち呑みの名店らが集結しているため、気軽にはしご酒もできるラインアップにしたそう。
連日人気のランチ・ディナー各3種のコース1万円以下という思い切った価格設定で、満席でなければ予約なしでも対応が可能。ランチの「珊瑚」コース(5800円)は寿司9貫に加え、巻き1/2本、料理2品、椀物、甘味付き。ディナーコースは、寿司9貫などを楽しめる7800円から。
チェーン店と異なり、店毎にメニューや味付けを自由にアレンジするという同グループ。こちらのシャリは、羽釜で一気に炊き上げたハリのある米に赤酢を合わせたもの。
季節や入荷状況により、品数及び内容に変更の場合があるが、取材時の握りでは、剣先烏賊やれんこだいの塩味、炭火で炙った秋刀魚や穴子の香ばしさとマッチして、まろやかな後味が印象的。
「じゅわっと飲める系」というダシがしみ込んだいなり寿司、世界大会優勝の実績をもつ能登のジェラート店の味わいが詰まった「塩ジェラートもなか」など、こだわり尽くしの品が揃う。
■ 豪華な飲み放題やペアリング、ロケーションも魅力さらに、常時メニューでは初というコース用の飲み放題(2640円)も登場。「プレミアム」プラン(3740円)では、全国から厳選した日本酒をはじめ、「天満天神梅酒大会」で優勝した果実酒、ワインなど幅広い約40種が揃う。それぞれの寿司の旨みを引き立てるペアリング(6820円)もおすすめだ。
カジュアル路線の新店だが、古木の梁が目を引くシックな内装で、大窓からすぐ裏手の「グラングリーン大阪」を見渡せる梅田ならではのロケーションも魅力。カウンター席で、間近に職人の手仕事を見ながら会話も楽しめる。
寿司職人・榊洋光さんは「鮨屋の『敷居が高い』って、どのお客さんも充実した食事ができる空間として良い意味もあると思います。でも『格式が高い』は寄りにくいので、ここは落ち着いた雰囲気はありつつも気軽に使ってほしい」と話す。
■ 「健全な価格破壊」コスパ抜群で提供できる理由とは?高クオリティながら「健全な価格破壊」をめざすという同グループの強みは、仲卸業への参入。全国約150の漁港と提携し、鮮度の良い魚介類を大量ロットで仕入れることで、自社飲食店はもちろん、100以上の飲食店にも納品している。
「ただ店を増やしていくより、根本には産直の良い魚をもっと届けていきたいという思いがありますね」と話すのは、運営元「Human Qreate」副社長の李聖大さん。
2026年1月には「大阪木津卸売市場」(大阪市浪速区)にあるスーパー「食材センター ODA」内の鮮魚店を引き継いで、同グループが「一石三鳥 鮮魚店」としてグランドオープン予定。東京の拠点とは別に西エリア各店のセントラルキッチンとしての機能を担いながら、鮮魚販売も行う予定で、より身近に新鮮でおいしい魚を楽しめる環境を整えていく。
「もっといろんな魚を使えたら、料理の幅も広がる。そして、いろんな層のお客さんに美味しさや楽しさを感じでもらえたら」と期待を寄せ、「『産直鮨 一石三鳥』は梅田という場所柄、既存店よりもう一段階カジュアルになっているので、ハレの日のコースだけでなく、ぜひ日常づかいでも」と呼びかける。
「産直鮨 一石三鳥」は、「イノゲート大阪」内「バルチカ03」5階、営業は12時~15時、17時~22時、月曜休み。
(Lmaga.jp)
