万博ロスに効く?大阪ご当地映画『タローマンを応援してはいけない応援上映』でファンの芸術が爆発だ

「鑑賞、味わうというのは、じつは価値を創造することなんだよ」そう、岡本太郎も言っていた…。映画『大長編 タローマン 万博大爆破』(以下『タローマン』)が好調だ。興行収入は時点で2億円を突破、動員もまもなく15万人を達成見込み(10月14日発表)で、これには宣伝担当者も「まさかまさかの大ヒット…リピーターの方も本当に多くて」と驚いている状況だ。

過去に、滋賀県のCM「石田三成」や、ゲームアプリ『宇治市~宇治茶と源氏物語のまち~』などを手掛け、何度も広告業界をザワつかせてきた、映像作家でクリエイティブディレクターの藤井亮氏。本作は、彼が手掛けた深夜の5分番組で、カルト的人気を得た『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』(NHK Eテレ)を長編映画化したもの。

1970年の「万博」と「昭和100年」である2025年の「万博」が物語の軸となっており、『大阪・関西万博』が人気大爆発で閉幕した今、非常にタイムリーな作品だ。現在、上映8週目にして、まだまだロングラン続映中。今回、岡本太郎が手掛けた「太陽の塔」の「お膝元」で開催された、『タローマン』の「『応援してはいけない』応援上映」の模様を、興行収入2億円の大ヒットを記念して紹介しよう。

◆「『応援してはいけない』応援上映」ってどういうこと?8月の映画公開直後から、SNS上には作品を鑑賞した人たちからの「タローマン応援しない上映やってほしい」「『非』応援上映をやってほしい」「反・応援上映、やってほしいな」「来るなタローマン上映やってほしい」というたくさんの投稿が。

中には、「タローマン応援上映やってほしいけど、応援するとタローマンはやる気を失ってしまうから難しいな」と真剣に考えている人もいた。それは作中の主人公である「若い太陽の塔」の顔を持つ、謎の巨人・タローマンが、「応援されると、逆にやる気を失う」という性格をもつことからだ。

そんなたくさんの要望を受け、全国各地の映画館で開催されているのが、「『応援してはいけない』応援上映」。作品ホームページや、公式Xの「『応援してはいけない』応援上映」告知には注意事項として、「タローマンは応援されるとダメになってしまいます。タローマンを応援してはいけないよ!」と明記されている。

そのうち、今回取材した「109シネマズ大阪エキスポシティ」(吹田市)は、1970年に開催された『大阪万博』の跡地、「万博記念公園」に隣接する場所にあり、「太陽の塔」に見守られるような位置にある。これは、まさにご当地中のご当地の映画館。約350席のキャパシティのシアターで9月20日に2回開催された藤井監督とタローマンの舞台挨拶付のイベントは即完売で、当日は気合の入った猛者たちが続々と劇場に集結した。

◆ 「なんだこれは?」参加者たちの芸術が爆発だ!上演を前に、参加者にお話を聞いた。作品Tシャツを着用して、一番乗りでシアターに入場してきた中学生は、手作りの「芸爆(芸術は爆発だ)」うちわ、3Dメガを持参し、気合充分。「応援グッズは家で頑張って作りました。もっと予算かけたかったけど、この映画と同じく低予算で…タローマングッズを買い過ぎてお小遣いがたりなくて。でも、『マイナスに飛び込め』って岡本太郎も言ってたんで、オッケーです」と岡本太郎イズム全開で挑んでいる。

また、この日関東からきた20回以上鑑賞しているという人、お母さまの手作りの岡本太郎な服を着用している人、指先までタローマン一色な人などなど、個性的なメンバーがどんどんシアターに入ってくる。応援上映という特殊な形式にもかかわらず、参加者がキッズ含むファミリーから中高年まで、非常に幅広いのは少し意外でもある。

◆ 帰ってくれタローマン!こっちに来るなタローマン!「タローマンは応援されるとダメになってしまいます。タローマンを応援してはいけないよ!」に則して、司会者に促され、上映前に観客みんなで「ブーイング」の練習。映画が始まる前から「帰れタローマン」「こっちにくるなタローマン」と発声も全力だ。

そして上演を前に、藤井監督、続いてタローマンが呼びこまれる。参加者一丸となり、タローマンに、やはり先ほど練習した「ブーイング」で熱烈歓迎を表現した。

(次のページは…)いざ上映開始…会場が一体になったのはあのシーン

◆ いざ上映開始…会場が一体になったのはあのシーンこの調子でいよいよ本編に突入。主題歌『爆発だッ!タローマン』を大きな手拍子やサイリウムを振って盛り上げ、風来坊、水差し男爵、博士など、人気キャラクターや奇獣たちの登場シーンに上がる大歓声。もちろん、タローマンの登場シーンでは「帰ってくれタローマン!」と、子どもから大人まで、口々に叫んでいる。

何度も登場する鷲野社長の「わしのビルが~!」に続く、「社長~!」の声出しは、映画が進むにつれ、タイミングもばっちりあうように。スクリーンと客席が一体化しながら、ストーリーが進んでいった。

また通常上映時には、みんな少し我慢していたであろう笑い声も、各シーンであちこちから聞こえ、子どもたちの笑い声もシアターに響いていた。これだけでも発声ありの「応援しない、応援上映」を行う意義が大きいだろう。

上映後に参加した親子に話を聞くと、「自宅で『頑張るなタローマン!』としっかり練習してから来ました。ダンスも家でずっとこうやって踊っているんですよ」とのこと。

『タローマン』は、岡本太郎や、芸術に興味がある人らのための「サブカル映画」としてではなく、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」などに夢中になるかのように、親子そろってガッツリと楽しめる「ファミリー映画」としても、愛されていることを知った。

◆ 「応援してはいけない上映」の様子を見学した藤井監督の反応は…?上映後、藤井監督は「みなさんの表情や反応、コスプレなども生でみれて、とても楽しかったです。関東での上映も見学しましたが、盛り上がり方もそれぞれで、その違いも興味深かったです」と話し、「ただ、『わしのビルが~』『社長~』の部分は絶対盛り上がりますね」と笑っていた。

◆ 岡本太郎の言葉を体現!映画を味わい、価値を創造する人たち最後の舞台挨拶終了後も、劇場にはユニークなスタイルの参加者たちが交流し、記念撮影などを楽しんでいた。中には藤井監督にサインをもらうキッズの姿も。

このように、タローマンファンたちは、何度も本作品を鑑賞し、ファンアートの制作はもちろんのこと、笑ったり、踊ったり、コスプレしたり、と映画をさまざまな方法で味わい、創作に参加している。冒頭で紹介した岡本太郎の言葉「鑑賞、味わうというのは、じつは価値を創造すること」をこの「『応援してはいけない』応援上映」参加者たちは、自然と体現していたように思う。

岡本太郎の名言を学べる、という側面もある本作。映画の最後に登場する「万博」についての言葉は、非常に深い。「太陽の塔」というべらぼうな構造物をつくっておきながら、「施設なんてものはいらない、ただ人がいればいい」と断言できる岡本太郎の潔さ。『大阪・関西万博』にハマった人はぜひ、観てほしい。今なら、きっと首がもげるほど、うなずきたくなるはずだ。

「なんだこれは!」と言いたくなるような、べらぼうなストーリーの中で、なぜか不思議と沸いてくる感動を、あなたもぜひ。

映画『大長編 タローマン 万博大爆破』の最新の上映館や『応援してはいけない』応援上映」の実施については、公式ホームページで確認を。なお「109シネマズ大阪エキスポシティ」では、毎週末『応援してはいけない』応援上映」を開催中。

取材・文・撮影/Lmaga.jp編集部

(Lmaga.jp)

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