大阪の老舗喫茶「平岡珈琲店」が100年の歴史に終止符…若き店主の「新たな挑戦」

大正時代から続く大阪・本町の老舗喫茶店「平岡珈琲店」(大阪市中央区)が、現在地での営業を今年いっぱいで終了する。

約100年にわたりオフィス街で愛されてきた老舗喫茶だが、2018年の大阪府北部地震の影響で入居しているビルが損傷。そして今年の4月に隣接するビルの建て替え工事のため退去せざるを得なくなったのだ。同店の三代目店主・小川流水さんに店の歴史から今後の店の在り方について聞いた。

■ 店の歴史とこれからどうなる?小川さんは28歳の時に代替わりし、そこから約40年間、店のカウンターに立ち続けてきた。北部地震でビルの被害を受けたときから、「今後の店の存続についてずっと考えてきました」と小川さんは言う。店の看板であるドーナツやブレンドコーヒーの味はそのままに、これからも店を続けていくための作戦を模索していた矢先にコロナ禍に突入。

今まではオフィス街ワーカーの休憩スポットだった同店が一変、コロナ禍は1日のお客が激減する事態に。そんなある日、突然店に訪れたアメリカ人YouTuberが店の投稿を上げたことで、外国人観光客が増加し、今までの客層とは違う雰囲気になったという。

それを機に「時代とともに客層は変わっていく。ならば店自体も変わらなければいけない」、と前向きにチャレンジすることに決めた小川さん。思い返せば、先代からずっと同じだったブレンドコーヒーも元の豆が手に入らなくなったことをきっかけに新たな豆を使用し焙煎方法を変え、そしてその時代のお客の好みに合わせてドーナツの食感にも変化を加えてきた。

■ 伝統は残し、若き新たな店主に託す思いまた、今まで後継者がいなかった同店。「今が変わるチャンスだ」と、3年前に入った現在の店長・たむさんやスタッフさんに現代の客層に合う新メニューを考案してもらい、店頭で提供するようになり…と実験をかねてさまざまな施策にチャレンジしてきた。その成果もあり、看板ドーナツはもちろん、新作のプリンやコーヒーゼリー目当てのお客も増え、現在は9割が観光客で日本人の若い男女も「昭和レトロ」を求めてやってくるそうだ。

移転先はまだ未定だが、たむさんが自ら希望し、四代目店主に抜擢。カウンターやテーブル、椅子やランプなど同店の雰囲気を残すため、移転先に持っていける調度品などは全て次の店に持って行くという。

また、小川さんは「最初はこんな大変な仕事を…ととても迷いましたが、(たむさんの)『好き』という気持ちの力の大きさを感じて、任せることに決めました。100年の歴史はここで一度終わり。でもこれからの100年の歴史を作っていける。伝統を守りつつ今後も進化を続けていきたい」と語った。

「平岡珈琲店」は2025年12月末に一旦閉店予定、移転先は未定。小川さんのブレンドコーヒーとドーナツはそのままに、今後はたむさんがオリジナルメニューも考案。今後の動きは「平岡珈琲店」のInstagramにて。

取材・文・写真/Lmaga.jp編集部

(Lmaga.jp)

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