大阪・中之島の新たな顔に…2年を経て「東洋陶磁美術館」が待望のリニューアル

改修のため2022年2月から閉館していた「大阪市立東洋陶磁美術館」(大阪市北区)がおよそ2年に渡る工事を終え、4月12日にリニューアルオープン。大阪のオフィス街・中之島の新たな「顔」がお披露目された。

■ 中之島の変遷を見守って40年中国・韓国陶磁を中心としたコレクションを展示する同美術館は、1982年開館。以来40年、なにわ橋駅の開業や「中之島公会堂」周辺の歩道整備、「こども本の森 中之島」の完成など、うつりゆく風景のなかで素焼きタイル貼りの建物が変わらずそこにあった。

「中之島公会堂」とならんでこの地の変遷を見守ってきたが、「もっと気軽に来てもらえるように」と今回、エントランス棟の増築と展示施設の改修を実施。かつてのエントランスを内包した全面ガラス張りの新エントランスとカフェが西側に完成し、あわせて展示室やサイン計画も一新されている。

■ 建物のなかにいながら「街の一部」に全体像を見るかぎり、スタイリッシュで現代的な要素が加わった「大阪市立東洋陶磁美術館」。その見どころをお伝えしたい。

リニューアル前の2021年当時、折り返しのスロープがあった西側の壁面前に階段が設けられ、今回の新たなエントランスに。ガラス扉をくぐった正面には、40年の歴史が刻まれた青銅の銘板が移設されていて、ちょっと、いや、かなり感激してしまう。

入口左手に新設されたチケットカウンターの背後にはコンクリートの大きな壁が。カウンターの裏が展示室へと繋がる階段になっている。まるで生き物のような有機的な曲線がそうさせるのか、コンクリートの重厚さは感じられない。

ロビーに置かれた椅子は、新進気鋭の作家によるもの。同館で展示されている国宝「油滴天目 茶碗」のように複雑に光る台座と、剥き出しのコンクリートの座面との組み合わせが、新旧の建物を表しているように思えて粋に感じる。

このエントランス棟は、高さ7メートルものガラスに囲まれていながら四隅に柱がない特殊な構造。中之島公園と美術館が地続きのようで、建物のなかにいながら街の一部であるような感覚になった。

■ 爆誕したキャラクターは虎?猫?建物だけでなく、美術館の新しいロゴとともにサイン計画もリニューアル。東京オリンピック・パラリンピック全競技のピクトグラムを制作したグラフィックデザイナーの廣村正彰氏が手がけ、これまでなかったキャラクターも誕生した。

案内役として館内のあちこちに登場するのは、ツートンカラーの謎生物moco(モコ)。美術館の英名「The Museum of Oriental Ceramics,Osaka」の略称から命名された。

一見、猫のように見えるが、案内パネルでは「吾輩は虎である」と自己紹介している。え?虎なの?猫なの?実は、モチーフになった18世紀の壺の模様が虎なのか猫なのか、専門家の間で意見が分かれているのだとか。この夏の学会で最終判断が下される見込みとのことで、mocoの正体と今後の活躍にも注目したい。

2年の時を経て、見どころ盛りだくさんで再開した「大阪市立東洋陶磁美術館」では、オープン記念特別展として『シン・東洋陶磁?MOCOコレクション』を開催中。約380点のコレクションを9月29日まで見ることができる。

取材・文・写真/脈脈子

(Lmaga.jp)

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