大阪のコロナ第1波と2波の違い、高リスク者の自衛が影響か
「大阪府庁」(大阪市中央区)で7月28日に実施された大阪府の『新型コロナウイルス対策本部会議』で、最近の感染拡大について議論。大阪大学医学部附属病院の朝野和典教授が、第1波と違った傾向や特徴を説明した。
会議では、大阪府に緊急事態宣言が発令された4月7日前後をコロナ感染拡大の第1波。そして、6月中旬から感染者数が増大している現在までを第2波として議論が交わされた。
第2波では、20代の若者を中心に、夜の街の関係者や滞在歴のある人に感染が拡大。またこの日の感染者数は155人と増加する一方で、退院・解除人数も118人など無症状・軽症者も多い。
こういった状況に対して朝野教授は、「第1波と第2波では様相が違ってきた。第1波ではリスクの高い60代以上が全体の30%だったのが、今は10%台というのがひとつの特徴。また、検査数が増えているので(陽性者は)第1波のピーク直前の実数に近づいているが、重症者の数はそんなに増えていないのも特徴」と説明した。
また吉村洋文知事が、「大阪市立大学でおこなわれた抗体検査では(感染率が)1%で、府民に換算すると第1波では88000人。これを1カ月換算すると1日3000人、2カ月としても1日1500人が感染していたことになる。(現在の感染者数は)第1波でキャッチできていなかった数が、可視化されたのだろうか?」と質問。
これに対し朝野教授は、「PCR検査の数が増えると患者は増えますし、無症状・軽症の若い陽性者が増えると、相対的にお年を召した方の割合が減っているように見える。PCR検査を積極的にやったことで、軽症・無症状の人を拾い出したのかもしれない」と回答した。
さらに、「発病してから2週間遅れて重症化が起こるので、おそらくこれから増えてくると思うのですが、医療現場感覚では、第1波の3月末くらいのように重症患者がどんどん来る状況ではない」と現状を説明した朝野教授。
その理由について、「重症化しやすい人が外出を控えたり、手洗いやマスクをするなど、自衛で対策をしっかりしているためだと思う。これは世界的な傾向で、高齢者が自衛されて死亡率が下がってきている。また、重症化しても死亡が増えないのは、医療現場としてある程度は治療が慣れ、診療技術が上がってきているのも事実」と話した。
今後の課題は、「中等症の方が増えてくるので、中等症のベッドを充実させること。そして重症化すればすぐに治療経験のある病院で治療する、という循環を大阪府として回してほしい」と、吉村洋文知事へ嘆願。さらに府民の行動についても、「ブレーキをかける必要がある」と指摘した。
今後府では、検査体制を2500検体へ拡充、また宿泊療養については8月末までに1200床を確保、医療病床についても段階ごとに確保していく方針。また、感染拡大へのブレーキとして8月1日から20日まで、府民に対して5人以上の宴会・飲み会を控えるよう要請がおこなわれる。
取材・文・写真/岡田由佳子
(Lmaga.jp)