住民の不安も解消し開催、コロナ禍乗り越え平田オリザが演劇祭を発表

新型コロナウイルスの影響で、数々の大型イベントが中止や延期になるなか、今年から兵庫県豊岡市で始まる『豊岡演劇祭』は、予定通り9月に開催することを発表。フェスティバル・ディレクターの平田オリザと、豊岡市の中貝宗治市長が7月1日、「江原河畔劇場」(兵庫県豊岡市)で会見を開いた。

ラインアップは、平田が主宰する劇団「青年団」を始めとする、10団体の参加が確定。さらに公募した10団体ほどを加え、城崎温泉や神鍋高原などの但馬エリア一帯を会場に、観光と観劇が一体化した新しいスタイルの演劇祭を目指すという。

平田は、「アートという非常に強いトリガーがあれば『1回(豊岡に)来てみよう』と思ってもらえる。演劇だけでなく、自然や温泉などのさまざまなアクティビティと組み合わせて楽しんでもらいたい」と抱負を語る。

緊急事態宣言解除後としては、関西で初となる大規模なアートイベント。平田は「この演劇祭で活動を再開する劇団が多いので、みなさん非常に楽しみにしています。まだ東京や大阪は本格的なフェスティバルが難しいかもしれないし、全国一律で文化活動を止めてしまうのは非常に危険。この豊岡から、芸術復興の灯をともしたい」と意気込みを見せた。

その一方、都市部から人が押し寄せたり、劇場に密集することが、地域住民に不安を与えるのでは・・・という懸念も。そこは観光・旅館関係者とも連携し、厳しい感染症対策を設けた上で臨むという。さらに地元の観光業界も、演劇祭を見越して回復に動いてるという状況もあり、中貝市長からは「ネガティブな声は、特に聞いてません」とのコメントが。

「2004年に大水害があったとき、水没したバスの上で一晩中歌って生き延びた市民たちがいたり、市民プラザに連日アーティストが訪れたりしました。大災害のときにはアートが人々を支えたり、救ったりするということを、豊岡の方たちは経験上よく知ってるはず」と説明する。

さらに、「アートが人々と街をどのように支え、そして変えていくのかということを、第1回(演劇祭)を見てもらえば恐らくわかるだろうし、そこで意識がガラッと変わると思います」と期待を語った。

『豊岡演劇祭2020』は、9月9日~22日に「江原河畔劇場」「城崎国際アートセンター」(兵庫県豊岡市)などで開催。各公演の日程や出演者などの詳細は、今後の情勢の変化を踏まえた上で、7月下旬に公式サイトで発表される。

取材・文/吉永美和子

(Lmaga.jp)

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