感染症対策で入館は予約制に、悲劇のアーティスト・メスキータ展が兵庫で
19世紀末から20世紀初頭のオランダで活躍した画家・版画家・デザイナーのサミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868~1944)。彼の日本初の回顧展が「西宮市大谷記念美術館」で6月1日よりおこなわれる。
開催が延期になっていた同展は、先の東京展で約4万8千人を動員し話題に。同館の再開にともない6月27日までの会期となるが、電話で日時を予約しての観覧となり、1日の入館者は500名までに抑えるという。予約は5月15日より受付中で、入館希望日時の1時間前まで。
メスキータはポルトガル系ユダヤ人家庭に生まれた。学生時代に建築、エッチング、バティック(ろうけつ染)、木版画などを学び、卒業後は画家、版画家、装飾美術のデザイナーとして活躍する。また、美術学校で多くの学生を指導しており、だまし絵で世界的に有名なM.C.エッシャーもその一人である。
メスキータ作品の最大の魅力は、木版画に見られる力強さだ。切れ味鋭い線描、大胆な構図、明暗の強烈なコントラストを、装飾性と共に表現している。また、ドローイングではシュルレアリスムのオートマティズム(自動筆記)や表現主義に通じる作風を示しており、この分野の先駆者と言える。
ユダヤ人だったメスキータは、1944年1月31日に妻、息子とともにナチスに拘束され、同年2月11日にアウシュヴィッツで殺されている。アトリエに残された膨大な作品はエッシャーや友人たちが決死の覚悟で救出し、戦時中も命がけで守り抜いた。近年、彼のカタログレゾネ(全作品目録)が出版されるなど、ヨーロッパで再評価が進んでおり、本展はその機運を受けての開催となる。料金は一般1000円。公式サイトには、学芸員による作品解説動画も。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)
