西宮にゆかりのある日本画家・山下摩起の代表作を堪能
毎年、コレクションの日本画展で新年を迎える「西宮市大谷記念美術館」(兵庫県西宮市)。今年は『生誕130年記念 山下摩起をめぐる画家たち』と題し、西宮市にゆかりのある画家・山下摩起(1890~1973)の展覧会が、2月11日までおこなわれている。
山下は有馬温泉の旅館を営む家に生まれ、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に入学して、山元春挙、菊池契月、竹内栖鳳らの指導を受けた。1918年に国画創作協会が結成され公募展が開かれると、同展で実験的な作品を出品。その後洋画の研究を始め、1928年にはフランスに留学している。帰国後は日本画に洋画の技法を取り入れた独自の作風へと至り、1960年に大阪・四天王寺五重塔壁画を制作するなど、西宮市を拠点に活躍した。
本展では、代表作の《雪》や仏画の《大威徳明王》など、同館が所蔵する山下の全作品14点が見られるほか、これまでほとんど公開されてこなかったスケッチやドローイングなどの資料類、彼とゆかりの深い画家たちの作品など、合わせて約50点が展示されている。
顔(特に目)の描き方がモディリアーニ風の《婦女図》や、着物の描き方にキュビズムの影響が感じられる《女三態之図》など、洋画の技法をミックスした作品も多数見られ、山下独特の濃密な日本画世界を満喫できるだろう。また、個人宅の洋風応接間を飾っていた屏風《春花図》が初公開されるのも見逃せない。料金は一般500円。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)