無人書店が滋賀・大津に、本屋経営難の解決策に?
年々、駅前や町の個人書店が消えていくなか、本屋の新たなスタイルを提案するキャッシュレス決済の無人書店「SELF BOOKS(セルフブックス)」(滋賀県大津市)が11月29日にオープンした。
同日オープン内の商業施設「ブランチ大津京」に位置し、本は並んでいるが書店員は1人もいない。その理由については、オーナーの平田幸一さんは、「大型書店でなければ有人での経営は採算が合わない。個人でも書店を経営できる方法を模索し、無人で成り立つ本屋を作りました」と説明する。
実は平田さんは2018年8月より、奈良市内で同様の無人書店「ふうせんかずら」を運営。客は、事前に携帯で会員登録しIDで入店、カードリーダーを使って自分で精算。書店員がおらずとも、販売できるシステムを作りあげ、今回の「セルフブックス」も同様のスタイルとなっている。
ただ新刊を売るだけではなく、会員は選者として有料の貸し出し棚に古本を並べて販売もできるのも、面白いポイントだ。「自分が選んだ本を売りたい人は潜在的にいます。だから、店側が選んで利用者に提供する一方通行のような形ではなく、セレクターにも購入者にもなれる『本を売る場』を提供したかった」と、2店とも参加型の書店となっている。
ただ、やはり気になるのは書店で一番の問題である、万引き。それについては携帯で事前に個人情報を登録すること、また複数台の防犯カメラを設置することで解決しているという。
「だれが入店し購入したか、オンタイムで全て私の携帯に記録されています。今まで『ふうせんかずら』では万引きがおこなわれたことは一度もありません」と、書店員はおらずとも、人の目を感じさせることがポイントになっているようだ。
関西の人気店が選書を担当するコーナーもあり、新刊・古書合わせて約1000冊が並ぶ。今後はトータル3000冊まで増やし、ゆっくり本をセレクトできるようにソファも設置予定。また、子どもが本を売る「本屋さんごっこ体験」なども企画していくとのこと。営業時間は、10時~21時。
取材・写真/中河桃子
(Lmaga.jp)