清水富美加から改名した女優・千眼美子「やっぱりお芝居がやりたい」

朝ドラ『まれ』や『仮面ライダーフォーゼ』などで注目を集めるなか、2017年に宗教法人「幸福の科学」に出家して、芸能活動をしばし休止。そして、清水富美加から千眼美子へ改名した彼女が、芸能界復帰後初めての主演映画となる『僕の彼女は魔法使い』のキャンペーンで久しぶりに来阪。今の思いについて話を訊いた。

写真/木村正史

「清純派な役は意外と初めてかもしれない」(千眼美子)

──以前はよく大阪に来られてましたが、最近はどうですか?

あの頃は毎週来てましたからね。久々の大阪の空気、もう最高です! 夢の街・大阪。私にとって都は大阪なんです。上京とは、大阪に行くことぐらい。

──たしか、東京生まれ・東京育ちですよね。なぜそこまで?

いちばん最初に大阪が好きになったのは、全国高校ラグビーの大会キャラクター(2010年)をやらせてもらったときで、2カ月くらいずっと大阪に滞在していて。そのときのメイクさんが、いわゆる「大阪のオバチャン」という感じで、すごく良くしてもらって。いろんなところに連れて行ってもらったし、街で荷物をもったおばあちゃんを見かけたら、「持ったるわ!」って近寄っていったりして。わぁ、大阪っていいところだなって。

──水が合うんですかね。

もう、ホント大好きです。1度でいいから住んでみたいと思っていて。休みの日とか、不動産のサイト見てますもん。なので2019年の目標のひとつは、以前のように大阪にちょくちょく来て、友だち作って、余計にちょこちょこ来るっていう(笑)。

──そんな千眼さんですが、映画『僕の彼女は魔法使い』で主人公・白波風花を演じています。芸能界復帰後、初めての主演映画ですが、どうでしたか?

今までやってきた役のなかで、いちばん正統派の役です。風花のように、ここまで天然で、すごくいい子で、清純派な役は意外と初めてかもしれないですね。

──人々の幸せを奪う黒魔術の脅威から、愛の魔法で世界を救う白の魔法使いで、「白魔術の継承者」という主人公。赤い糸で結ばれた運命の人を探し出し、時空を超えた戦いに挑むという。かなりファンタジー要素の強い作品です。

まず前提が、世界を救う最後の白魔女っていう女の子なんですけど、そもそも世界を救うってどういうことなのか、白魔法と黒魔法の違いはなんなのか、そもそも魔法界って?と、わかんないことがありすぎるんですよ。白と黒ってなに? 善悪って? 自分なりに勉強して、それが役作りに繋がっていった感じです。

──そのなかで、なにか新しい気付きはありましたか?

この映画をやる前は、現実世界と魔法界ってまったく別モノで、物語のなかだけの話だと思ってたんですけど、この世界もすでに魔法界なんだと実感が深まったといいますか。さっきスチール撮影をしてもらいましたけど、それもカメラマンさんが一瞬を切り取る魔法をしてるんですよ。そういう世界観に変わっていくと、ひとりひとりが魔法使いであって、その魔法をどう使うか。それを意識して日々生きていけるか、ですね。

「やっぱり全力投球は変わらないです」(千眼美子)

──役に対して思いを馳せたり、深層心理をもっと掴んだり、という点については、これまでと比べてどうですか。特に今回は復帰後初めての主演でもありますし。

してましたね。してたんですけど、清水富美加最後の1年くらいは、どこまで役の思考回路を演技に落とし込めるか、与えられた役の代弁をすることに徹してたんです。その点では、カメラの回っていないところでも、思考も全部その役に染めていくというのは一緒なんですけど、この映画が持っているメッセージ性はなんなのか、実際観てくれた人にどう感じて欲しいのか、その先まで考えていたかというと、これまでは役に集中しすぎて見えてなかったかもしれない。

──そういう意味では、女優としてひとつ扉が開いた感じですかね。

そこは役者として変わったところかなと思います。だけど、やっぱり全力投球は変わらないです。もともとお芝居を始めたときから、当時のマネージャーさんやスタッフさんから「お前はバラエティ向きだ」って言われてたし、監督からも「君は女優じゃなくて、バラエティの方がいいと思うよ」って言われまくってて。

──これまでの出演作品を観てる限り、そんなことないと思いますが。

ありがとうございます。だけど、それでも自分の思いを貫いて、「お芝居がやりたいんです!」って言ってたんですよ。でも、ずっと怒られるもんだから、「あ、ホントに自分は下手なんだな」っていうのが心底分かって。それに気付いちゃったから毎回、毎回全力投球。その全力投球すら、毎回更新していかないと上手くならないから、もう毎回必死でした。

──やっぱりお芝居がいちばんやりたい、と。

昔はずっと辞めたいって思ってたんです、全力投球がしんどすぎて。千眼美子になってちょうど2年経つんですけど、宗教家として活動して、女優はどうなるのかなって。そう思ってたんですけど、3年目を迎えようとしている今、なんでお芝居が好きなのかとか、ずっとずっと考えていて。でも、なんでこんなに辛かったのに頑張れたのかなって考えてたら、普段の生活のなかでも、本気で誰かとぶつかり合えたりすることって、大人になるとなかなかないじゃないですか。

──たしかに、大人になるほど少なくなりますね。

本気で誰かと語り合ったり、感情をぶつけ合ったり。それは現実世界でもそうだし。でも、お芝居をしてると、セリフじゃなくなる奇跡的な瞬間があるんです。毎回、100点満点は出ないけど、その瞬間を求めて、いろんな現場やレッスンに行って自分を磨いています。いつか辞めたいと思っていた職業だったけど、樹木希林さんみたいになりたい!と思えるようになってきて。やっぱり、お芝居がいちばんやりたいことですね。

──期待に応えるために一生懸命になりすぎて、それがしんどさに繋がってたのかもしれませんが、私の周辺では「あんな女優はなかなかいない」って評判でしたよ。

えぇ、めっちゃうれしいです! この録音したの、ダビングして欲しい。これで毎朝目覚める!

──今回は劇中で、2役にも挑戦しています。これもまた、新たな刺激になったんじゃないですか?

昔に負けず、いろんな役をやっていきたいと思います。そういう意味では今回、明るい役が続こうとしてるなかで、2役をやらせていただいたのは、経験としても、対比としても、いろんな意味で面白かったです。

──ブラックな千眼さんも出てきて。これまでにない色気がありました。

意外と、ブラックが好評なんです(笑)。いろんな人があっちが好きって。大人になってきたんです(笑)。そう思っていただけるとめちゃくちゃうれしいです。

(Lmaga.jp)

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