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ISPSハンダ・HWWカップに世界的プロゴルファーがズラリ

 優勝した東聡(左)とラファ・カブレラ・ベッロ(右)を表彰する半田晴久ISPS会長(中央)
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 一般社団法人 国際スポーツ振興協会(ISPS)が主催するゴルフトーナメント大会「第5回 ISPSハンダ・HANDA Watch World・カップ」(共催は株式会社ミスズ、賞金総額3000万円)が、11月4、5日に静岡県御殿場市の太平洋クラブ御殿場WESTで開催された。ISPSアンバサダーを務め、メジャー6勝で世界ゴルフ殿堂入りしたサー・ニック・ファルド(62)=英国=やプロ通算70勝のアーニー・エルス(50)=南アフリカ=、ミンジー・リー(23)=豪州=ら世界中の大物が参戦。1日完結の2日間競技で男女プロ、アマ混成のユニークな大会は、大いに盛り上がった。なおプロの部の優勝は、1日目はラファ・カブレラ・ベッロ(35)=スペイン=と東聡(59)が栄冠を分け合い、2日目はラファ・カブレラ・ベッロが連覇した。       

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 優勝者に贈られる兜(かぶと)を身につけたラファ・カブレラ・ベッロは「すっかりサムライになった気分だよ」とほほ笑み、プレゼンターを務めたISPSの半田晴久会長とガッチリ握手を交わした。

 1日目は東聡と優勝を分け合ったものの、2日目きっちりと混戦を抜け出しての連覇。メジャーで活躍する現役バリバリの実力を存分に見せつけた。そんなプレーを間近に見ることができたとあってギャラリーも沸いた。

 優勝したカブレラを含め今大会は、過去に例がないほどの豪華な面々が顔をそろえていた。キーガン・ブラッドリー、ニック・ファルド、アーニー・エルス。女子もレキシー・トンプソンにリディア・コ、そしてミンジー・リー。世界中のスーパースターに加え、日本からも男子は尾崎三兄弟ら。女子は酒井美紀らとオールスターで迎え撃った。

 さらに今回のすごさは、ゴルフの男子、女子のプロ、アマ、シニアに高校生だけでなく、マイク・ティンダル(英国)、フランソワ・ピナール(南アフリカ)、リッチー・マコウ(ニュージーランド)ら世界の有名ラグビー選手、元ニュージーランド首相のジョン・キーらトップを務めた政治家が参加。ゴルフというスポーツを通してさまざまな人たちが一堂に会する。世界を見渡してもお目にかかれないような、まさに真のワールドカップの開催となった。

 「スポーツは人々、国を結びつける力がある。スポーツの力、スポーツの価値を世の中に広げて、人々が幸せになり、より良い社会になればいい」。半田会長は、ISPSの理念をもとに開催意義を説いた。株式会社でなく一般社団法人だからこそ、より社会に根ざした活動が可能だ。実はその理念から今回、より価値がある試みも行われた。

 ISPSはプロだけでなくアマ育成にも力を入れる。その一環で日本高等学校ゴルフ連盟(高ゴ連)を支援。8月には「ISPSハンダ・全国中学校高等学校チャレンジマッチプレー選手権大会」を主催したが、今回はその大会に出場していた高校生を招待した。プロと一緒にプレーするだけでなく、何と世界で活躍するミンジー・リーとの交流の場を設けた。

 事前に半田氏が大会に出場した女子高生ゴルファーに「プロゴルファーの誰と会いたい」などとリサーチ。その答えが全員「ミンジー・リー」だった。今回は彼女たちの「会っていろいろ聞きたい」と夢をかなえたのだった。

 ミンジーも大会当日の早朝に羽田に到着しそのままラウンドとハードなスケジュールだったが、初日のラウンド終了後のわずかな時間だったが、中高生がミンジーを囲む場が設けられた。

 学生「アマとプロの違いは」

 ミンジー「Very busy。忙しいです」。

 ほかにも「どんな練習や準備をしているのか」「試合での心掛け」「日常の生活」「緊張した時どうすればいいか」など、学生から次々と質問が飛んだ。アマの世界大会で優勝してプロになり、世界のトップで活躍するミンジー。年齢も23歳とあって高校生たちにはより近い憧れの存在だが、ナマで話を聞けるのは貴重な機会。全員が真剣に向き合った。

 さまざまな質問にミンジーは丁寧に対応。最後には「ゴルフばかりに特化してやらないで、人間としての幅を広げてください」と、人間としての成長を説いた。

 参加した高校生で女子アマの部で優勝した天野真里奈さん(神奈川・厚木北高校)は、プロを目指しており、今回尾崎直道プロと一緒にラウンドしミンジーとも交流する機会を得て「すごく勉強になった。プロの方のすごさを肌で感じることができ、大きな収穫になりました」と貴重な機会に感謝した。

 「ゴルフ界を考えたら、若い世代の支援が大事。利益を追求する株式会社ができないことをやるのが一般社団法人の役割」と半田会長。12月には沖縄で「ISPSハンダ 全国中学校・高等学校選抜ゴルフマッチプレー選手権」を開催。継続的に未来のスター育成も手掛ける。

 表彰式もプロアマ分け隔てなく全員がテーブルを囲み、和やかムードで交流した。そんな中で、半田会長も、おなじみのサンバ隊とともに登場。さらに「ダニー・ボーイ」「オー・ソレ・ミオ」など世界的な名曲を熱唱するなど、歌って踊って盛り上げた。

 そんな様子に優勝したカブレラは「スポーツマンがこのように集い、同じような気持ちで同じような目標を持ってやっていけば、きっと世界はよくなっていくと思う」と力説した。世界に向けても、大きな軌跡を残す大会となったことは間違いない。