山下氏・高知・島田監督対談(2)
デイリースポーツ評論家の山下智茂氏(70)=星稜総監督=が次世代の高校野球を考える企画の第3弾は、かつての野球王国、四国へ飛んだ。春夏2度優勝の名門復活を目指す高知・島田達二監督(43)を直撃。2大会連続でU-18日本代表コーチを務めるなど経験を積む一方で、夏の決勝では5年連続で明徳義塾に敗れる苦渋を味わっている。山下氏が次世代を担うと期待する指導者に迫った。
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-トレーニングは週に何回。
島田「練習メニューの中で下半身多めの日の次は上半身とか。体幹を強めにとか。基本的にボール投げること、走ること、バット振ること、体を鍛えることの4つ。昨日走っていないなら今日多めにとか。天候に左右されたりするのでメニューの中で考えます」
-1年生が入ると約100人の大所帯になる。メニューは変える?
島田「マンネリ化するのを避けるために種類を変えたり、数値を測定したりします。遠投、ベースランニングとかヘッドスピード、ロングティーとか9種目を測定する。自分が伸びたという目安にする。数値は目に見えるところなので。体重測定も2週間に1度。そうすると意識を持ってくれる。普段もご飯を多く食べるようになる」
山下「うちは毎日計っているからマンネリ化してるのかな」
島田「2週間で増えてなければ言いやすいですよね」
山下「練習はキャッチボールなど基礎練習が多いね」
島田「キャッチボールは毎日やることでスローイングのミスは激減します。投げるのは誰にも邪魔されない。バランスが崩れても投げられるようになるかは、自分の問題。あと、意識させているのはカバリングです。後ろに抜かれないようにどうするか」
山下「(熱心な指導を目の当たりにして)しかし、熱いね。甲子園塾でもすごく熱いんだよね。やって見せてくれる。今の若い監督さんはどちらかというと頭で野球しているけど、体を張って教えるじゃないですか。そういう監督が少なくなっている。だから、好きなんだ」
島田「昭和なんですよね。平成なんですが(苦笑)」
-次の100年は、昭和のよい部分とこれからの新しい部分が相まっていくのだろう。
島田「体で表現するものなので、やはりグラウンドでしょう。頭でやる部分も大事ですが、プレーとか姿勢とか、体で表現できるようになってほしい。すごくよいことを思っていても、プレーに出なかったらダメ。それを引き出せるように時には厳しくしないと。そこのところがすごく大事。僕もうまく言えないんですけど」
-目に見えない部分。
島田「レギュラーから補欠に教えろ、聞けよと言う。チームでよくするためにどうするのかと。今の子は自分だけになるため、いかにそこに興味持たせるか。春(センバツ出場の可能性)がなかったので、開き直ってそこからやり直そうと。でも、どう指導したらいいのか戸惑うことはある。理屈や理論だけなら本でもインターネットでも何でもある時代。やる気の出る本とかで教えられるなら、指導者はいらないんで。さっきと相反するんですが、数字に表れない能力が伸びないと、結果に結びつかないんです。数値測定もするけど、最近はそちらも気になって。年とって気になり始めたのかなって」
山下「それが高校野球の原点じゃないかな。それがわかってくると強くなるよ。でも、明徳義塾という大きな壁があるからね。いつもいいところまで行っているが」
島田「何なんでしょうね?5年も連続(夏の決勝)で負けるって。決勝ですよ…。僕の私生活が悪いのかな。でも、明徳さんがいるから目標を持ってやれる。あそこを倒すためにやる。岸をどうやって打つかを言いながらずっとやっていたら(2014年夏は)5点取れた。あの夏、岸から5点取ったのはうちと大阪桐蔭だけだった。高校生は、全部は無理でもこのポイントと絞ってやればすごい力を出す。明徳さんがいる分、そこへ目標を立てやすい。うちが伸ばしてもらえる1つの要因。目の前にあんな大きな壁があるので。悔しいけど、いい刺激になっています」
-特待生がなく、100人も部員がいるとレベルに差が出る。
島田「野球で入ってきた子じゃなくてもせっかくうちに来たなら成長させないと。最初から勝負させないのはかわいそう。いろんな目的で入ってくる子がいるので」
山下「そういうことを考える指導者が少ないよね。どうしてもレギュラー中心になる。僕は補欠だったんで、補欠がかわいくてね」
島田「僕も補欠だったんでわかります。県外からの子も皆がうまいわけじゃない。うちでやりたいという子たちですが、何しに来たんやと怒りたくなる子も何人かいます(笑)。でも、全体でやると上の方で一部伸ばせない子が出てくると言いますが、伸びる子は伸びてくると思うんです。感性のある子は(チャンスを)つかみますね。大会の時は、ちょっとごめんメンバーだけやらせてくれって形にしますが」
山下「普通のチームは補欠が叱られる。ここは反対。レギュラーが叱られる」
島田「レギュラーはちゃんとしてくれないとダメ。補欠は怒られて試合も出られないとおもしろくない。最後はじっくりやっている子が勝つ。いい選手は特待生で獲られているけど、うちでやりたいという子がいるのはありがたいことです」
山下「100人を管理するのは大変。うちは1学年15人くらい。超スパルタだから怖がって入ってこなかった(笑)」
島田「100人いて80人がだらけるとチームにならないから、これをいかに律するか。子守みたいなもんです(笑)」(3に続く)
