第８回の「悔しくないのか！！」「俺はこれからお前たちを殴る」、あそこが一番の山場っていうか、名場面ですよね。

　朝から撮影を始めて、あの山場が昼飯後になったんです。カット数が多くて。ちょうどテンション上げて「悔しくないのか！！」って叫ぶ手前ぐらいで午前中が終わっちゃった。

　「スクール☆ウォーズ」の魂の叫びみたいな、大切な、重要なシーン。そこから始まっていくわけじゃないですか。しかも実話を基に書かれているので、このシーンにかける思いはスタッフもキャストもなみなみならぬものがありました。

　森田光男（宮田恭男）が中心的な存在で「悔しいです」っていうセリフがあるので、これは言わなくても大丈夫だろうな、変にプレッシャーかけてもアレだしなって思って。当日まであまりそういうことには触れないで。暗黙の了解というか、台本読んだ時点でわかるじゃないですか。細かい指示とか余計なことは言わない。自然な、リアルな演技ができるように、雰囲気作りはやってました。

　午前中にそこをこなして、僕もものすごくテンション上がったら昼飯。確かに１２時だから飯食わないと、みんな腹減ってるんだけど、そういうシーンじゃないじゃないですか。僕は飯抜きでやってほしかったんです。

　頭にガーッと血が上ってないとやれないシーンで、ここで昼飯を食べたら血液が胃袋に行って、このテンションが緩んでしまうんじゃないかって。よく言うじゃないですか。頭に血が上ってるのに飯食うとホッ落ち着くみたいな。

　そしたら彼ら（部員役の俳優たち）が「じゃ、飯行ってきまーす」みたいな軽い感じで。僕は「えーっ？」って。「お前たち何、この芝居わかってる？」「わかってます」「飯食ってできんのか？」「大丈夫です？」とか言って。

　「えっ？大丈夫なのかな、俺は行かないぞ」って言ったんですよ。そしたら「俺たちも行かない」って言うと思ったんです。そしたら「行ってきまーす」みたいな感じで、行っちゃったんですよ。僕はセットの教室の中で一人取り残されて「腹減ったなー」って思って。（この項続く）