志穂美悦子「歌う時間を作ってくれて」夫・長渕剛に感謝 歌手としての共演は「ないでしょう」

 7月14日はプランスの革命や建国を記念した「パリ祭」の日だが、日本でも同月中に各地でその名を冠した音楽イベントが行われる。アクション女優として一時代を築いたフラワーアーティストの志穂美悦子(70)は「鬼無里(きなさ)まり」名義のシャンソン歌手として11日の故郷・岡山を皮切りに、広島(尾道)、名古屋、東京、金沢で開催される「パリ祭」に出演。このほど、都内で行われたトークショーでは「歌に命をかける」と宣言し、6月に亡くなった大先輩の美輪明宏さん(享年91)、夫のミュージジャン・長渕剛(69)への思いも語った。

 シャンソン歌手デビューは60代最後の年となった2024年だが、20代前半から伝説のシャンソン喫茶に足を運んでいた。

 「22~23歳の頃、銀座七丁目にあった『銀巴里』で大人の女性が歌うシャンソンを聴いていました。私がシャンソンを歌うようになったのは(そこで蓄えた)小さな微粒子が増えてきたというのか、それがなかったら歌っていなかったです。人生は山あり谷あり、谷あり谷あり、谷底もある。そういう、いろんな人生を経験してくると、歌ってみたい歌がいっぱいあった」

 志穂美はそう振り返ると、「シャンソンはフランス。他国に攻められた歴史があって、革命もあった。王政から民主主義に変わる時、抑圧された人たちの叫びの声もシャンソン(※フランズ語で『歌』の意味)になっている。日本の人が思うシャンソンって別れの歌、愛の歌だと思うんですけど、エネルギーが爆発しようとする歌がすごく多くて、『生きる』『死ぬ』ということが歌の中で語られている。そこに私はひかれています」と説いた。

 新たな芸名と共に新人として始動した。「鬼無里」は思い出のある長野市内の地名で、「まり」は芸能界デビューした1973年に出演した特撮テレビドラマ「キカイダー01」での役名に由来。女性型アンドロイド「ビジンダー」に変身する前の人間の姿を「マリ」として演じ、世に知られた原点でもあった。

 その後も、東映の「女必殺拳」シリーズ3作(74~75年)や「華麗なる追跡」(75年)といった主演映画でアクション女優の地位を確立。志穂美は「東映(の撮影)ではヘリコプターやロープウェーにぶら下がり、爆薬の中を走り、命を落としてもおかしくないアクションを数多くやらせていただきました。そして“某すごいアーティスト”と命がけの結婚をして、本当に、あれは私にとって“アクション”だったと思います。お花も生けまくって命をかけた。歌もそうしていこうと…。一貫して言えるのは、全部、命がけのアクションなんです」と生き様を示した。

 歌手として将来的な夫婦共演の可能性には「ないでしょう。足元にも及びません」と即答。その上で「歌う時間を作ってくれて、ありがたく思っています。『やれるとこまでやれ』と言ってくれていることに…。でも、力は借りない。なぜ、私が歌うようになったかといえば、20代で出会ったシャンソンもあるけれど、やっぱり(87年の結婚から)40年近く、(夫の)横でずっと、歌をお客様に届けるすごさ、真摯な姿勢を見せてもらったことが、私を突き動かしてくれたのかなと思います」と感謝した。

 「銀巴里」の看板スターだった美輪さんとの初対面も、夫を介してだった。「うちの“かの方”が紅白に同じ時(14年)に出させてもらった時に、私も現場に付いて行って美輪さんの楽屋を訪ね、花束をもらっているところを拝見させていただきました。(翌年から)美輪さんの公演に2回、うかがいましたが、お話したことはなかったんです。私にとって、遠い(存在の)方でしたから。こうして自分がシャンソンを歌うようになった今、改めてお会いしたかったです」と悼んだ。

 長渕、美輪さんだけでなく、75年の歌手デビュー曲「13階段のマキ」を作詞した「あしたのジョー」など名作漫画の原作者・梶原一騎氏にも言及。梶原氏の原作で同年公開の主演映画「若い貴族たち 13階段のマキ」の主題歌として冒頭、中盤、海辺のラストシーンと計3回流れた歌に思いを込めた。

 「梶原一騎先生ですよ、『巨人の星』の!」。劇中、赤いヌンチャクを触り回して悪党をなぎ倒した当時は19歳。時は流れ、古希を迎えた志穂美は、トーク会場の映画館(目黒シネマ)で「どうせ、この世は13階段~」と約半世紀ぶりの歌声を披露して喝采を浴びた。そして最後に将来的な「紅白出場」という夢への意欲も示した。

 7月3日には昨年に続く2度目のソロライブを都内で開催し、各地でのパリ祭などを経て8月以降も出演予定が続く。「歌は自分の主張です。稲妻みたいなものが降りてきて、言いたいことを歌として選んでいる。自分の言葉を持って生きたいなと。ほんとに私、歌い手として命かけてるから」。志穂美は力強く言い切った。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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