落とし物を拾ってくれた人から“お礼5万円”請求!? 本当に払わないといけない?【元警察官が解説】
C子さん(40代会社員)は、通勤途中に財布を落とした。会社に着いてから気付いたC子は慌ててバッグの中身をひっくり返して探していた。その後、すぐに交番から「財布が届けられています」と連絡があり、中身も無事に戻ってきたことに胸をなでおろす。だが受け取りの場で、拾った人から「拾ってやったんだから、5万円をお礼として払ってほしい」と言われ困惑するのだった。
実際に財布を拾ってもらったときに、お礼は必要なのか。そして、いくら払うのが正しいのだろうか。千葉県で警察官として20年以上勤め、現在はサービス業を起業して活動しているSさんに話を聞いた。
- 遺失物法における報労金の取り決めは、どのように定められているのでしょうか。
遺失物法では、拾った人(拾得者)が持ち主(遺失者)から報労金を受け取れる権利が定められています。法律上は「落とし物の価格の5~20%」の範囲で請求でき、支払う義務があるとされています(同法第28条)。
ただし条件があり、拾得から7日以内に警察へ届け出ること、管理者のいる場所では24時間以内に施設占有者に届け出ることです。そして落とし主に返還されてから1か月以内に請求する必要があります。この期限を守らない場合、権利は消滅します。
- 「お礼に5万円」など、法律を超えた高額請求は現場であるのでしょうか?
私や同僚が扱った範囲では、法律の上限を超えた高額請求が行われた例はありません。拾得者は「報労金を辞退します」と権利を放棄されることが多い印象です。
ただし、権利を主張する方へは遺失者から連絡をするため、その際に「請求額が妥当かどうか」でトラブルになる可能性はあります。なお、財布から現金だけが抜き取られているケースは実務上よくあり、これは遺失物横領罪や窃盗罪にあたる重大な犯罪です。
拾った場合は必ず警察へ届け出てください。
- 実際の現場で、落とし物の報労金やお礼をめぐってトラブルになることは多いのでしょうか?
報労金のやり取りは拾得者と遺失者がおこなうこともあって、あまりトラブルは耳にしませんが、拾得者から「遺失者から何の連絡もなかった」と不満を訴えられるケースはあります。
例として、重い鞄を拾って届けた拾得者が「無事に持ち主に戻ったかを知りたい。一言お礼の連絡さえあれば、報労金はいらなかったのに」と後日、警察署に話しをされに来られたことがありました。これは金銭よりも、感謝の言葉がなかったことへの不満が大きな要因です。
このように、報労金制度そのものよりも、連絡不足やちょっとした気持ちのすれ違いがトラブルになっている印象です。
- 落とし物をめぐるトラブルを避けるために、一般の人が知っておくと良いことはありますか?
拾得者と遺失者の双方が、法律で定められた期限やルールを守ることが無用なトラブルを避ける近道です。拾得者は速やかに届け出をし、遺失者は感謝を示す、この基本が守られていれば、多くのトラブルは防げると考えます。
◆Sさん 50代。千葉件で元交通課の警察官として20年以上勤め、現在は福祉施設などへの派遣サービス業を営んでいる。
(よろず~ニュース特約・カキMONO.1)
