なべやかんが新刊で明かした“都市事実”替え玉事件の真相、怪力の原点は大横綱…アルフィー高見沢が帯文
芸人・なべやかん(54)が13年ぶりとなる新刊「クソ芸人からのチャンピオン 進化する挑戦者として」(さくら舎、税込1980円)を出版した。その存在が世間に知られることになった「明治大学替え玉受験」から「たけし軍団」時代、パワーリフティング日本代表での活躍、50歳でのプロレスデビューといった激動の人生をつづっている。(文中敬称略)
なべの著書は2002年の「鉄腕なべやかんのお笑い筋肉の達人-“替え玉”から“世界チャンピオン”を狙うまで」(青春出版社)、12年の「なべやかんの怪獣コレクター生態学 コレクターという病」(彩流社)に続き、今回が3冊目となる。
本書の内容について、なべは「バラエティーに富んでいて、都市伝説ならぬ“都市事実”も書いています」と説明。「都市事実」という言葉の意味については「都市伝説だと思われていたが、実は事実だったこと」と補足した。
その“都市事実”として、1991年に発覚し、テレビのワイドショーで父・なべおさみの釈明会見が報じられ、連日、自宅にマスコミが殺到した「替え玉事件」の舞台裏を当事者であるOBの証言も交えて記した。自身は当初、有印私文書偽造で告訴されたが、不起訴になっている。
一度は合格通知が届いた。その学部が二部(夜間)だったことから、フジテレビ系深夜番組「北野ファンクラブ」で同事件を話題にした際、放送作家・高田文夫氏に「やかん」と“命名”され、その時、テレビを見ていた本人は飛び起きて正座したという。実際、その芸名で「たけし軍団」入り。「ボクシング漫画『あしたのジョー』で矢吹丈と力石徹が出会った少年院のような場所」と例えた軍団で奮闘する日々や“殿”ビートたけしの素顔も描く。
軍団メンバーだった頃、スポーツジムに通ってペンチプレスに傾倒し、パワーリフティングという競技に挑戦。98~99年の世界パワーリフティング選手権のベンチプレス種目で2年連続準優勝など、日本代表選手として国際大会で活躍した。
その“原点”には角界の大横綱の存在があった。やかんは成城学園高校ラグビー部時代に左肩を脱臼した際、父・なべおさみの関係で横綱千代の富士の優勝祝賀会に三角巾を付けた状態で行ったところ、横綱から「腕立て伏せを毎日300回やること」と宿題を課され、意気に感じて実行。筋肉の鎧(よろい)で脱臼癖を克服した千代の富士のアドバイスが、体格的なハンディをものともしない怪力の起点になった。
こうした歩みが第1章で描かれ、第2章ではプロレスラーとしての足跡を振り返る。2018年8月、ベストボディ・ジャパンプロレスリング(BBW)旗揚げ戦でデビュー。BBWのタッグ、無差別級、世界スーパーボディ級、6人タッグの計4王座に輝き、現在もリングに上がる。同団体のユニークな経歴の選手や新たな出会いも描く。
リングで激突したダンプ松本に竹刀で叩かれながら、たけし軍団時代を思い出した。試合後の控室では、ダンプから「お父さんによろしく」と言葉を掛けられたという。千代の富士に続き、父・おさみの人脈や影響力を感じさせられる。
最後の第3章では、格闘技団体「パンクラス」のメインレフェリーで、整体の治療院を営む廣戸聡一氏の“神の手”と称される身体理論を紹介。治療を通した出会いから25年。小柄な体(身長154センチ、体重53.5キロ)で百数十キロ以上のバーベルを挙げるパワーの秘密も解き明かされる。
THE ALFEEの高見沢俊彦が「まるで沸騰したやかんが吹きこぼれそうな情熱を本作に感じた!」と帯文を寄せた。やかんは意外なその間柄について「ゴジラ絡みで高見沢さんのラジオ番組に呼ばれたのがきっかけです。高見沢さんのファンクラブ会報誌で対談もさせていただきました」と明かし、「高見沢さんもずっと体を鍛えていて、お会いするとトレーニングと怪獣の話をしています」という。
71歳という年齢を超越した心身の若さを保つ高見沢に対し、やかんは8月で55歳になる。「挑戦に年齢は関係ない。若い時と比べたら確かに体力は衰えますが、昨日より今日、今の自分なりのベストを出していればそれが若さです」。そう、本書に込めた思いを語った。
(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)
