“国民的チョコ”「ブラックサンダー」製造工程ついに一般公開へ ひと足お先に現地体験

 ザクザクとした食感とリーズナブルな価格設定で老若男女に愛されるお菓子「ブラックサンダー」。発売から30余年。これまで一般に明かされなかった“国民的チョコ”の製造現場が、ついに公開されることになった。

 「ブラックサンダー」は有楽製菓株式会社から1994年に発売された。ココアクッキーとプレーンビスケットをチョコレートで固め、ザクザクとした食感が特徴的。発売当初は販売低迷し、売り上げ不振から休売していた時期もあったが、九州地方から人気に火がつき、全国展開を果たした。体操金メダリストの内村航平さんの好物としても名前が広まり、現在1個43円(税込み)という値段設定も魅力で、関連・派生商品は300種類を超える。

 同社ではこれまで累計19億本を販売。人気の高さから工場見学を求める声が相次ぎ、愛知県・豊橋工場増設に伴って同社初の見学施設「ブラックサンダー ワクザクファクトリー」を設置。20日にお披露目会が開催された。

 見学施設に入ると、まず目に飛び込んでくるのが壁一面に装飾された「スーパーブラックサンダー」。高さ3m、幅9mを超え、通常の「ブラックサンダー」の300倍以上の大きさを誇る圧巻の“ゲート”だ。

 この「スーパーブラックサンダー」をくぐって中へ入ると、プロジェクションマッピング体験へ。迫力の映像とともに、入場者は「ブラックサンダー」の具材の一部になったような、不思議で“おかしな”感覚に迷い込む。

 製造ラインと並列して作られた工場見学通路は全長71.5mあり、14カ所の窓から成型や冷却、切断、コーティングなど「ブラックサンダー」の製造工程を見ることができる。通路に沿って解説や歴史が紹介され、種類の違うクッキーを混ぜて食感を変えたり、2段階の冷却で切断時の型崩れを防ぐ工夫など、思わず人に話したくなる“ブラサンの秘密”が盛りだくさん。フォトスポットやスタンプラリーのポイントもある。

 併設の直営店「ワクザクSHOP」では、詰め放題が人気を集めそうだ。1回1100円(税込み)の定員制で、専用の袋に制限時間3分の間、とにかく詰め込む。落とさなければあふれてもOK。販売員は「28個も入れれば元は取れます」と話すが、余裕で30個以上は超えるおトク企画だ。

 チョコレートを扱うだけに十分な温度管理がされ、これから暑い時期でも子供から大人まで楽しめる“豊橋の新名所”。工場自体はまだ増設工事が続き、総額100億円超の投資事業となる。同社の河合辰信社長(42)は「7月期末で195億円の売り上げ予想ですが、今後フル稼働して300億円を目指す。おなかだけでなく、心を満たすお菓子の魅力を世界へ発信していきたい」と話す。「夢」をいっぱいに詰め込んだ「ワクザクファクトリー」は27日にオープンする。

(よろず~ニュース・田中 靖)

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