同人イベント向け託児サービス 「子どもも趣味も大事」ニッチな需要に応えて5年

 「『同人誌即売会に託児所あったらいいのにな~』と言ってる方がまだまだいて、ここに!!!!あるよ!!!!!ってなる…」。同人イベントの開催に合わせた臨時託児サービス「にじいろポッケ」(@nijiiropokke)の投稿がツイッター上で拡散され、「知らなかった」「ありがたい」などと注目を集めている。

 「にじいろポッケ」は、「コミックマーケット」や「COMIC CITY」などの同人イベントの日時に合わせ、子どもを預けられるサービス。会場へ1時間以内にアクセスできる場所で朝8~9時頃から子どもを受け入れ、イベント終了後まで預かる。

 2児の母である代表の四辻さつきさんが、子育て中もイベントに参加したいと感じたことをきっかけに、2016年11月から運営を始めた。主に東京や大阪で活動し、これまでにのべ841名の子どもを預かってきた。

 四辻さんは「趣味のために子どもを犠牲にしたいわけじゃない。子どもも趣味も大事にしたい」と、「子どもにも楽しい時間を過ごしてもらう」ことを重視すると話す。プロのプラレール作家の協力を得て、巨大な立体プラレールを設置することもある。

 1回の預かり定員は20名で、「一般的な保育園より多い人数」の保育スタッフがそれぞれの子どもに合わせた遊びをサポートする。単発の保育サービスには珍しく、毎回ほぼ同じ保育スタッフが出勤し親子と顔なじみになることもリピーターから好評だという。

 リピーターも多く、順調な運営に見えるが「全然赤字です。ビジネスの観点からは全然もうからない」と四辻さんは明かす。「ただ、コロナ禍前は20人くらい(予約が)入れば黒字化していけるところまできていたんです」。イベントの中止や参加人数減少を受け「ふりだし」に戻ってしまったと悔しさをにじませる。現在は、立ち上げて間もない頃に行ったクラウドファンディングの残金や、ビジネスプランコンテストの賞金などを運営資金に充てている。

 それでも、「これだけニーズがあって感謝の声をいただいているので、続けていくべきだと思いますし、続けていけば人数が増える。黒字化も目指していきたい」と運営を継続する。近年は、同人イベントの「公認」を受けることも増えてきた。2022年9月には同人イベント「コミティア」と「Jガーデン」とタッグを組み、会場である東京ビッグサイト内での開設を予定している。

(よろず~ニュース・今井 佳奈)

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