年末の外電には要注意!?フェイクニュースやいたずらが横行する年末の一日 スペイン在住記者が紹介

  一年で嘘をついて良い一日と言えば4月1日のエイプリルフールが有名。しかしスペインやメキシコなど中南米では「ディア・デ・ロス・(サントス)・イノセンテス」という同様のものが12月28日にある。

  訳すと「無邪気な子供たちの日」といった感じになるが、これはキリスト教に基づいた風習。その昔キリスト誕生の情報を得た当時の王は、将来自分の座を危うくする存在になると危機感を持ち、亡き者にするため町にいた2歳以下の子供たちの虐殺を命令した。この被害にあった人たちの冥福を祈るのが発端だとされている。

  もっとも現在では笑いと楽しみ、周囲の人をからかうのが恒例の日となっている。スペインではこの日に合わせてどんないたずらをするか、という「マニュアル」が存在する。

  例えば、塩の容器に砂糖を入れ替える、時計の針を動かすといったところは比較的軽め。さらに人型に切った紙を誰かの背中に貼り付け道行く人たちの笑い者にさせる、ドアを固定して動かないようにしておく、硬貨を床に貼り付けて取ろうとしても取れないようにする、タオルにクリームを塗りつけて置く、と多少の準備が必要なものも含まれている。

  なおこの日はメディアや公共機関も競い合うようにジョークを繰り出す。これまでの前科(または実績)としては、警察が公式ソーシャルネットワークで「緊急事態!クマが人間化しバイクに乗って逃走中」と発表したり、米NASAがマドリードの遊園地に異星人の生活を調査するためのアンテナの設置を決定、公立病院が新たにプライベートスイートルームを設置する、といったデマを流している。

  ポイントとしてはありそうでない、「でもやっぱりないわな」で会話が終わるくらいの話題がちょうど良いのだろう。他にはFCバルセロナ所属のサッカー選手、DFジェラール・ピケが現役引退しその足で同クラブの会長選挙に出馬するとか、ワイドショーの人気司会者がテレビ界を去りスペイン国首相の広報責任者に転身するというものがあった。毎年ギリギリの作り話が大量生産されているだけに、いくつかの誤報が真に受けられ他国へ伝えられたとしても不思議ではない。

  日本では先生も走る師走の、それも年末が迫った忙しい時に何やってんだ、との声が聞こえそうな気もする。もっとも情報を見極める目を養い、だまされたとしても笑って受け流す心の余裕が持てるとすれば、人々の生活のちょっと役に立つ一日にならなくもない…かも。

(スペイン駐在ジャーナリスト・島田 徹)

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