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還暦のフィンガー5・晃 登山にはまり滑落で九死に一生も 苦しみの先にあるもの

 1973年のデビューから「個人授業」「恋のダイヤル6700」「学園天国」とミリオンヒットを連発した沖縄出身の兄妹5人組クループ「フィンガー5」の晃(アキラ)は、5月で還暦を迎えたが、5年前から本格的に始めた登山にはまっている。滑落して九死に一生を得た体験もあったものの、それでも山に登り続ける魅力とは何か。そのこだわりを聞いた。

 「山に登りだしてこの夏で5年。都内の靴店でかっこいい靴を見かけて買ったのがきっかけです。その靴が登山靴だったので、ハイキングしたら、体力のなさを痛感したんですよ。それで鍛えるために本格的にやってみようと。テントなど20キロの荷物を背負って5-8時間歩くんですから体力つきます。47歳くらいで始めたボクシングでは自分で主催した『おやじファイト』のイベントでリングに2回上がりましたが、その瞬発力に加えて、山登りで持久力も付いた」

 印象に残る山は、南アルプス・白峰三山の「北岳」(標高3193メートル)、北アルプス・穂高連峰の奥穂高岳(同3190メートル)。人気のある槍ヶ岳(同3180メートル)にも登った。

 「穂高は(紅葉が絶景の)涸沢(からさわ)が最高ですよ。1回は行って欲しい。涸沢で山小屋に1泊して、そこから穂高に登っていくのが最高です。絶対、地図読みは完全にした方がいいですね。今は携帯電話でルート確認できるけど、高度計は必要。あと、コンパスがないと遭難しちゃう。水は余分なくらいに持ち、食料は4日くらい生き残れる分は持って行く。電波が届かないところでは連絡が取れなくて、命の保証はゼロだからね」

 危険な思いもした。

 「3回くらい滑落してます。奥多摩に行った時、枯葉が50センチくらい積もっていて、道を外れてしまい、ルートも分からず、電波も通じないから、違う所をどんどん進んでいる内にズボンと足を踏み抜き、ザックを背負ったままズズズーッと何十メートルも落ちたところで、ザックが木に引っかかった。その下は崖で、ぎりぎりセーフ。木に引っかかってなかったら死んでましたよ」

 究極の防御策は「無理だと思ったら引き返すこと」だという。 

 「ひと気のない山では登山道が整備されておらず、道も崩落していたりする。そういう時はロープを上の方の木に垂らして、ゆるそうな土を確認して、そこに蹴り込みを入れながら横にはっていく。50メートルくらい道がない時は、そこを1時間くらいかけてはっていく。落ちたら終わりだから、命がけですよ。山は危険で、甘く見たら死んじゃう。装備と計画、連絡先はきちんと準備して、冒険はするけど、無謀なことはしない。無理だと思ったら引き返す」

 山の魅力とは、苦しみの先にある「音や匂(にお)い」だという

 「登っている時は苦しくて、いつ下りようかと思うんですけど、『下りようか?いや、もうちょい行けるかな?』と考えているうちに頂上です。毎回、行く時は嫌なんだけど、下りる時には『次、どこに行こうかな』となる。これが不思議なんですよね。山の魅力は、地上では経験できない、あの景色と色、匂いや音です。小川の音、空気の音、木が揺れる音、そして、その匂いも全然違う。上に行けば行くほど空気が澄んで、すごくいい匂いで、息を吸った時に肺に入って来る空気が全然違うんです。それだけで感謝する気持ちになる。つかまらせてもらった木や石に『ごめんね、体力ないから休ませてね』って感謝する。簡単に手に入る物にはありがたみを感じないし、すく忘れるでしょ。山に登ると、苦しみの先に、自分で勝ち取った、こんないい思いはできないんだということがよく分かる。それを経験したら、やめられないです」

 今年は、緊急事態宣言が出ていない期間に1度だけ、「ホームマウンテン」とする雲取山に登った。今後は白馬岳と甲斐駒ヶ岳を予定している。山登りに「定年」はない。晃は「山では、どう見ても70-80歳くらいの人が俺を抜いていく。学生時代にワンダーフォーゲルやっていて山を知っているような、その人たちに比べたら60歳なんてまだまだですよ」と実感する。

 沖縄といえば海のイメージだが?と最後に尋ねた。晃は「沖縄の人、7割は泳げないですから。海はバーべキューとキャンプするところで、泳ぐところじゃない。俺も妹も泳げない。兄貴は泳げるけど、それは珍しくてね。やっぱり、山なんですよ」。還暦を過ぎてなお、気力と体力がみなぎっている。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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