三頭身キャラが突きつける戦争のリアル 「ペリリュー 楽園のゲルニカ」 ついにアニメ化決定

 太平洋戦争の終結から76年、戦争の記憶が薄れつつある中で、1つのアニメが制作される。「週刊ヤングアニマル」で今年4月まで連載されていた、漫画家・武田一義氏の作品「ペリリュー-楽園のゲルニカ-」が完結とともに、アニメ化が発表された。

 同作の舞台は、太平洋戦争末期の昭和19年(1944年)、激戦地となったペリリュー島(パラオ諸島の1つ)。2015年に天皇・皇后(現在の上皇・上皇后)両陛下が慰霊訪問をしたことでも知られる地だ。漫画家志望の田丸均一等兵の目を通して、1万人の日本兵がほぼ全滅した戦場の現実が描かれている。

 武田氏の描くキャラクターは三頭身で、ゆるキャラのようなイメージ。そのかわいいキャラたちが簡単に、そして悲惨な姿で次々と命を落としていく。武田氏は同作で2017年に日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。「かわいらしい柔らかな筆致で、戦争を恐ろしく、マンガとして面白く描いた」と評価された。

 かなり生々しい表現もあるだけに、アニメ化にはハードルもありそうだが、担当編集者の白泉社・高村亮氏は「なるだけ表現は変えないようにしたい」と基本線は崩さない意向。時代は昭和から平成を経て令和と移り、戦争も遠い昔のこととなりつつあるが、「若い人に伝わってほしい」と望んだ。

 劇中では遺体に虫がわく様子や、洞窟に潜んだ日本兵同士の内ゲバなど戦場での不条理が浮き彫りになっていく。表現にハードルがある一方で、アニメとなって間口が広がる可能性も高いだけに、高村氏は「実際にあったことをベースにしています。追体験をして戦争を知ってほしい」とアニメならではの効果も期待した。

 放送局など詳細は未公表。それでも武田氏は「田丸や吉敷ら、愛着ある登場人物たちがどう動き出すのか、美しいペリリュー島がどう描かれるのか、僕自身待ち遠しくてなりません」と愛情たっぷりにコメントしている。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・澤田 英延)

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