男は度胸も愛嬌も!忘れられない弟・勘三郎の愛嬌

 「愛嬌なんてものはね、自然と出てくるものなんですよ!」

 私はいま山にいます。年が明けてから、1月は三越劇場『糸桜』、2月演舞場「喜劇名作公演」、3月は国立劇場で『遊女夕霧』と、幸せなことに舞台に立ち続けています。素晴らしい新作から思い出深い作品まで、師である(初代水谷)八重子先生の言葉に従って、「いつでも新鮮に」演じることを心がけて。今月、舞台はありませんので英気をいっぱい養っているところです。

 お休み月は舞台を観ます。明治座では甥っ子たち(勘九郎と七之助)が張り切っています。珍しい組み合わせで、菊之助さんとご一緒しているのですが、菊之助さんは相変わらず素敵ですね。品があって、高度な方。私と同い年の!富司純子さんの息子さんですものね。納得。甥っ子たちとの組み合わせもフレッシュでいいです。

 夜の部では勘九郎が『浮かれ心中』をやっています。井上ひさし先生の「手鎖心中」の歌舞伎化で、これまで弟(十八世勘三郎)しか演じていなかった役。不安もありましたが、チラシを見た途端に払拭されました。表情に愛嬌があって!

 私がかつて弟に「どうしたらあなたみたいに愛嬌が出るのか?」と聞いたとき、「愛嬌なんてものはね、自然と出てくるものなんですよ!」と答えた、あの愛嬌抜群の顔が懐かしいです。弟はなにをやっても愛嬌がありましたから。

 拝見した初日では最後の“ちゅう乗り”で勘九郎が「幸せといったらなんでもかんでも、いまじゃ愛之助さんでしょ!」とサービス満点。愛之助さんはいま、四国のこんぴら歌舞伎で大活躍だそうですね。ご結婚おめでとうございます!(私はすでにご紹介いただいていましたが、お似合いのカップル!)

 すっかり恒例のこんぴら歌舞伎も、元々は30年以上前のテレビ番組で吉右衛門兄さんと(澤村)藤十郎さん、弟の3人で金丸座を訪れたのがきっかけ。それ以来、江戸の芝居小屋の熱気を求めて、コクーン歌舞伎や平成中村座を創ったんですから、弟は愛嬌だけじゃなくて行動力が尋常じゃなかったんですね。

 波乃久里子でございました。

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