喜劇も悲劇もなんでもござれ!

 「波乃! 大当たり! 中村屋っ!!」

 先月の三越劇場、初春新派公演『糸桜』の楽日にかかった大向こう。出演者スタッフ一同、“糸桜ロス”になりそうねと話していたほど、素敵な作品に出会えた幸せあふれる充実の日々を過ごしました。なによりご来場のお客様のお陰と存じます。いつもありがとうございます。

 日頃、新派の舞台に出ておりますと「中村屋!」とかかると、なんだか江戸時代に戻されたみたいで「波乃!」の方が好みなのですが、今回の大向こうは嬉しかった!

 喜怒哀楽ある舞台姿が父(十七世)勘三郎にそっくりだと皆さんから言われたからかもしれませんね。弟(十八世勘三郎)よりも、ずっとそっくりだったそうです。姉、強し(笑)。ちなみに、楽屋暖簾も先月だけは中村屋の角切銀杏のものにしていたんです。

 実は新派作品で唯一、父から教わったものがあります。花柳十種の『遊女夕霧』。私が初めて演じる際に、「これは女方のやり方でやった方がいい」と花柳(章太郎)先生のビデオを取り寄せると、自宅で父が夕霧をやって見せるんです…稽古場での勘三郎の夕霧は絶品でしたねぇ。その父をそのままそっくり写しました。

 でも災難なのが、弟(笑)。私がやる夕霧の相手役をさせられるんですが、恋人だったり、講釈師だったり…。揚げ句には、「お前の間が悪いから、お姉ちゃんがやりづらいだろっ」て叱られる始末。来月の国立劇場で、その夕霧をお目にかけます。

 さて、今月は演舞場。藤山寛美先生とご一緒した懐かしい『単身赴任はチントンシャン』を中村梅雀さんと毎日楽しいおしどり夫婦で。『じゅんさいはん』では、かつて市川翠扇先生が演じていらしたお役ですが、そのお姿を思い出すと可笑しくって。

 あ、翠扇先生といえば、いま三越劇場で当たり役の『おばこ』を渡辺えりさんがやってらっしゃるんです。先生がお亡くなりになった後やる方がいなくて、25年くらい前に「あなたにぴったりな作品よ」とオススメしたんです。皆さま、観なきゃいけない舞台がいっぱいありますね!私は毎月舞台に立てて、本当に幸せ。波乃久里子でございました。

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