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塚本晋也ら精鋭監督トリオ対談(前編)

東京フィルメックスでも顔をそろえる(左から)篠崎誠、塚本晋也、廣木隆一の監督トリオ(韓国・釜山)
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 アジアの精鋭監督作を集めた映画祭・第15回東京フィルメックスが11月22日~30日、東京・有楽町朝日ホールなどで開催される。 映画祭プログラマーの市山尚三いわく「ウチの映画祭は、その監督が“どうしても作りたかった”という映画しか上映しませんから」。

 そんな熱い志で製作され、特別招待作品に選ばれた「さよなら歌舞伎町」(来年1月24日公開)の廣木隆一監督、「野火」(来夏公開)の塚本晋也監督、「SHARING」(公開未定)の篠崎誠監督がそろって、第19回釜山国際映画祭に参加。50歳を過ぎてアグレッシブに活動する3人が、映画を作り続ける苦悩や、映画祭の魅力について語った対談を、前後半に分けてお伝えします。

 -大岡昇平原作の「野火」は塚本監督の海獣シアターが製作。東日本大震災後の人々の葛藤を描いた「SHARING」は、篠崎監督が教べんを執る立教大学と、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業による「新しい映像環境をめぐる映像生態学研究の基盤形成」プロジェクトの一貫として制作されたものです。それに対して、「さよなら歌舞伎町」は主演の染谷将太が前田敦子と初共演するなど、豪華キャストで恵まれた環境に見えますが、釜山国際映画祭のQ&Aで「金銭的に厳しかった」とおっしゃっていました。本当ですか?

 廣木 ラブホテルを舞台にした一夜の話なので、染谷以外は皆、1日~2日の参加なんです。大森南朋なんて、夜中に来て、朝帰った(笑)。撮影期間は2週間です。

 篠崎 僕らの映画はかなりの低予算なんですが、撮影の9割近くが冬休み期間中の立教大学。場所代も美術費も、まんま学校を活用しているので費用がかからなかったのが大きかった。

 廣木 石井岳龍監督が神戸芸術工科大学で撮った「生きてるものはいないのか」(12年)と同じだ。

 篠崎 (撮影の為の)移動もないので、物すごく便利でした。

 廣木 僕らも歌舞伎町が舞台だったので、ドン・キホーテで集合して、撮影場所の移動はリアカーに機材を載せて徒歩移動(笑)。すごいなと客観視しつつ、楽しかったですけどね。

 -「野火」は(塚本監督の)お父様の遺産を投入したと伺いました。

 廣木 ホントですか?

 塚本 そうですね。本当は、今回は戦争映画で製作費が必要だったので、どなたかに出資して頂きたかったんですけどね。でも、そのお金も尽きてしまって、まだ少ししかお支払いできてないので、それを今、どうしようかと…。それがキツイです。

 廣木 切ないなぁ。

 塚本 笑っちゃいますよね。

 -優秀な監督が撮りたいと願っている映画が、なかなか実現できない今の日本映画界の状況はどうなのかと考えてしまいます。廣木監督は、商業映画と自主映画をバランス良く撮っているなと思いますが。

 廣木 そうなんですよ。商業映画で生活を保証して、自主で好きな映画を撮るというやり方ですね。基本的には自主映画を撮りたいので、「何でもやるぞ!」という勢いでやってます。

 塚本 釜山映画祭から帰国してすぐに新作の撮影なんですよね?別の作品を撮り終えて、すぐに釜山に来たというのに。すごいですね。

 廣木 でも、身体がついていけなくなってきました(苦笑)。

 篠崎 僕の場合は当初、短編で撮って欲しいという企画だったんです。有名な人を起用しなきゃダメだとか、原作ものじゃないとダメとかの縛りはなく。それを自分で長編に変えちゃった。

 -しかも「SHARING」は、異なる2つのバージョンがあります。

 廣木 それはデジタルカメラで撮っているからできる事だね。

 篠崎 一眼レフカメラを使い、スタッフも(教べんを執る)映画美学校の元学生をスタッフに起用しました。クランクインからクランクアップまで約2カ月。とはいえ、撮影は土日だけだったので、実質、2週間ぐらいでしょうか。

 -それでも、篠崎組のお弁当は豪華です。ご実家の鰻店「志乃ざき」(東京都八王子市)のお弁当ですから。

 篠崎 兄貴はこんなんですけど、弟が三代目を継いでいます。

 廣木 映画を作っていると、家族を巻き込むってことですよね(笑)。

 篠崎 はい、家族も無傷ではいられません…(苦笑)。

 ※以下、11月26日アップ予定の後編に続きます。

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