「マッサン」玉山鉄二&フォックス

 NHK連続テレビ小説「マッサン」(月~土曜、前8・00)が好評だ。ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝さんとスコットランド人の妻・リタさん(共に故人)をモデルに、夫婦愛を描く物語で、連日、高視聴率をマークしている。主人公のマッサンこと亀山政春を演じる玉山鉄二(34)、そして妻・エリーを演じる朝ドラ史上初の外国人ヒロイン、シャーロット・ケイト・フォックス(29)に、ドラマにかける思いや撮影エピソードなどを聞いた。

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 番組のスタート前、1週目の試写を見た玉山は「とにかく長かった。でも、全てが報われた感じです」と、しみじみ感想を語った。

 「マッサン」はニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝・リタ夫妻(共に故人)をモデルにした、国産ウイスキー製造に奮闘する夫婦が主人公。そのため、初めて外国人ヒロインを起用した。

 大河ドラマ「天地人」「八重の桜」をはじめ、これまで多くの作品に出演してきた玉山だが、朝ドラの主演は初めて。「プレッシャーはものすごく感じている」という。撮影開始から5カ月が過ぎたが、何もかもが初めての経験で「最初の2カ月は、勢いと緊張感で乗り越えられた部分がたくさんある。それがだんだん、自分が演じているマッサンが正解なのか?大丈夫か?ちゃんと(妻の)エリーを支えていたか?考える日々が続いている」と、奮闘中だ。

 日々の生活も、朝起きて撮影に行き、夜帰って台本を覚え風呂に入り、自分が演じたマッサンのおさらいをするルーティンが続く。朝ドラの主人公を演じるとあって「僕も30歳を超えて、おっさんに近づく中、かっこよくなければいけない!」と思い、体を絞った状態でクランクインを迎えた。だが、撮影が大変過ぎて、さらに痩せてしまい、当初の体重から10数キロも減ってしまったという。

 そんな過酷な日々だが、励みとなっているのは、もう一人の主人公・エリーを演じるフォックスの存在だ。

 米国人のフォックスは、異国の地でドラマに挑んでいる。しかもセリフはほぼ日本語。苦労は自分以上だ。セリフを覚えるにしても、台本では1つの日本語の単語に対して、そのローマ字での音表記に加え、翻訳した意味も表記されている。頭にたたき込むには単純に3倍の作業が必要。そんな苦労をしながらも、フォックスは現場に笑顔で臨んでいる。

 玉山は「シャーロットは僕たち以上に頑張っている。自分がしんどくてくじけそうになる瞬間があるのですが、そういう時、堂々と真っすぐに歩いているシャーロットを見ると、そんなことは言ってられない」と、刺激になっている。

 現場の雰囲気作りも大切にしている。「現場では極力笑顔を共有できるように、努力している。シャーロットも僕のことをすごく笑わせようとするし、僕も彼女の笑顔が見えるようにバカをやったりする。彼女の笑顔が僕の笑顔。僕の笑顔は彼女の笑顔。そういう関係がベストですから」と言う。

 そんな気遣いに、フォックスも「時々私が疲れてしまう時、玉山さんが肩をたたいて『分かるよ!分かるよ!』と言ってくれるのがうれしい。いつも笑わせてくれて、励ましてくれる」と感謝している。そんなほほえましいエピソードを話す雰囲気は、ドラマ以上の本物の夫婦のようだ。

 撮影を進めていくにつれ、フォックスはどんどん日本語をマスターしている。インタビューでも、最初の言葉を日本語で答えることもあったほど。大阪で撮影しているとあって「なんでやねん!」「ボチボチでんな~」などの関西弁もしっかりマスター。玉山も「どこで覚えてきたのか」と驚くほどの言葉も飛び出すという。今では「僕たちが言おうとすることを雰囲気でだいたい分かってくれる。いきなり『なんでやねん!』という反応もあるのです」(玉山)という上達ぶりだ。

 言葉だけでなく、日本の食文化もどんどん吸収しているという。ギョーザが好きで、現場で“ギョーザ・ダンス”を披露することも。他にもしゃぶしゃぶ、焼き肉などを好む。撮影が早く終わった時はスタッフと焼き鳥屋に行くこともあるという。

 玉山とは逆に「アブナイデス!玉山さんは10キロ以上痩せたようですが、その分は私にくれたみたい」と苦笑い。実際は、その半分くらいの増加とのこと。ちなみに米国にいる夫や母ら家族とはスカイプで会話しているという。

 朝ドラは、物語の中のヒロインの成長と同時に、演じている俳優も一緒に成長していくといわれる。玉山は朝ドラに出演するにあたり「どこかで攻めさせてほしい」と制作サイドにお願いした。

 それは「役者人生の中で朝ドラの主人公をやることは1回しかないと思う。限られた人しかできない。朝ドラの伝統を、王道感を残しながら、足跡を残したい」との思いから。具体的には「ちょっとクールで感じ悪くて無口で。そんな自分のイメージをぶちこわすというか」と、朝ドラの伝統などを踏まえた上で、マッサンの役を通じ、新しい自分を見せるつもりでいる。そんな勝負をかけたシーンが今後登場する。

 玉山は「たぶんこの作品をやりきった時、今後の役者人生のベースになると思う。色んな恐怖とかプレッシャーと向き合った時、この作品は武器になり、大きな盾になり自分の背中を押してくれる作品になると信じます」。フォックスも「この現場を経験した後には何でもできると思います。第1週を見ただけでも、あれを自分がやったと信じられないくらい、難しいことでしたから。私は忍耐強くなったし、本当にプロ意識が芽生えた。私に全てを与えてくれている」と言う。

 俳優人生の中で、大きな転機となる作品に挑んでいる2人。今後も注目だ。

 ◆玉山鉄二(たまやま・てつじ)1980年4月7日生まれ、京都府城陽市出身。99年、ドラマ「ナオミ」で俳優デビュー。2005年、映画「逆境ナイン」で初主演。映画、ドラマを中心に多くの作品に出演。主な出演作に映画「ノルウェイの森」「ルパン三世」、ドラマ「離婚弁護士」「わが家の歴史」「牛に願いを Love&Farm」など。12年2月、一般女性との結婚を発表。同年8月、第1子となる男児が誕生。身長182センチ。血液型O。

 ◆シャーロット・ケイト・フォックス(Charlotte Kate Fox)1985年8月14日生まれ、米国出身。カレッジ・オブ・サンタフェの演劇ダンス専攻でBFA(学士)、ノーザンイリノイ大学の演劇専攻でMFA(修士)。米国では主に舞台で活躍。「シカゴ」「危険な関係」などに出演。テレビドラマの主演は「マッサン」が初。特技はダンス、歌(ソプラノ)、乗馬。趣味は洞窟探検、ロッククライミング、ギター。

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